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鍋と買付とイーロンマスクについて

仕事を終えて、晩ご飯のことを考えた。
寒い夜には暖かい汁物またはグラタンまたは…

同棲している彼と相談して、海鮮鍋に決定。
食料調達をすべくスーパーに向かう途中

「鮭いいな…鮭…」

とそっと声に出す彼がいる。
私は聞いてないふりをしてスーパーへ直進した。

魚介は好きだけど、鮭だけは昔から気分が乗らないから、ごめんなさい。と心に言い残し真顔で前を突き進んだ。

このスーパーは現金払いのみ。
今日は二人合わせて所持金2000円。

まあ、晩御飯がそんな超えることはないだろうとお互いオードリーの二人かのようへへへと笑いながらスーパーに入った。

晩ご飯の素材さえ揃えばいいから、果物コーナーは無視してそのまま野菜コーナーに一直線。

とはいえ、目に入る商品値札にびっくりしてしまう。去年であれば、98円だった商品が157円で止まっていたりと高騰が収まらない。

そうともなれば、財布も緩ませまいと決意。

そして揃った選りすぐりの食材が

・鍋の素
・野菜(ほうれん草、白菜、ネギ、えのき茸)
・魚介(鮭とタラ)
・さつま揚げ
・アイスクリーム(どうしても食べたかった)

出来立ての鍋を想像して鼻元まで魚介の香りが漂う。なんてったって食後にはアイスがある。

スーパーのレジには長蛇の列ができていて、待っている間彼と戦利品の合計金額を予想をしていた。

買い物かごに入れる前から、少し想定はしていたけど念のためにだ。

「これ、2000円超えそうじゃないかな ?ギリギリ..」

え.…もうすぐ自分達の順番が来る。

「どうする?ギリギリ小銭でいけると思うんだけど」

私も確認したけど、確かにギリギリ超えそうな予感が。

「もし超えちゃったら、申し訳ないけど何か戻すか」

「そうだね…どれを戻すか」

これでも選りすぐりの食材達。
何を戻すにも選択を悩んだ。

私は思った
「イーロンマスクなら誰を解雇する?」
「そりゃ...アイスクリームでしょ」

泣きたい。それは却下する。

「確かに。その次だと…さつま揚げ?」
「いや、これは縁の下の力持ち。案外えのき茸なんじゃないかな」

あ。そうきたか。
気づけば、商品は次々とレジで流れていく。

「はい。合計1985円でーす」


ギリギリセーフでなんとか想定していた
優しい晩ご飯を実現できた。

イーロンマスクは買い物も合理的なのだろうか。巷のニュースで流れる情報以上のことは知らない。

私の心のどこかで、コスパの良いアイスクリームを秘かに食べて微笑む彼が居ることを願っている。

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