コンセプトブックをつくる企業が今、ふえている
コンセプトブックとは、なんぞや
私はベアーズという家事代行会社のクリエイティブチームに所属しています。家事代行サービス、といって、ピンと来る方が増えたのは近年だと思う。そろそろか、とタイミングを見計らい、昨年に入って新たに資料を一新することを決意。まずは、とつくったのがConceptBook(コンセプトブック)。え?なにそれカタログ?と、こちらもまだあまり浸透してないかなって思う。
最近よく耳にする「コンセプトブック」とは、読めばお店の思いやこだわりなどが分かる、お店の取扱説明書のこと。出典:https://kinarino.jp/cat6/29255
多分、これでもピンとくる方は少ないと思う。
インスタでタグると、ConceptBookは住宅販売系のハウスメーカーだとかに多い。個人的な考察では、高価格なのに差別化が難しいから、コンセプトによってお客様の属性が左右されたりしやすいのかな。多くのファンがつくかも?といって、利益率が高く販促予算を投下しやすい企業が制作に乗り出ていたり、少しずつ「ブランドブック」「コンセプトブック」を作る企業が増えているようで、このへんはどこのクリエイティブの方とお会いしてもよく聞く。
コンセプトが必要な理由
なぜ制作する企業が増えているかというと、機能的価値より情緒的価値が付加価値として大切になってきているからです。
ビジネス本でも、単純作業はAIに取って代わられるとかアートの価値が上がっている、という内容が増えてきた昨今、経産省もデザイン経営を推進し始めました。
デザインの投資効果「デザイン経営」は、そのリターンに見合うだろうか。各国の調査は「YES」であることを示している。欧米ではデザインへの投資を行う企業 パフォーマンスについての研究が行われている。それらはデザインへの投資を行う企業が、高いパフォーマンスを発揮していることを示している。 例えば、British Design Councilは、デザインに投資すると、その4倍の利益の効果が得られると発表した。
出典:「デザイン経営 」宣言 2018年5月23日
ここから、経営者の横にクリエイティブをつけてデザイン経営やろー!まずは、ブランディング!っていう動きが、活発化。
で、なんで家事代行に?と思うじゃないですか。家事代行サービスって、まだよくわからないじゃないですか。差別化してブランディングといっても、それ自体が知られて数年、というところではないでしょうか。コモディティでない商材だから、簡潔な説明がしにくいんですね。逆転の発想をすると、家事代行サービスはストーリーを大切にしてどのような思想があるか、というところに価値観を見出しやすいと考えました。
これが、作ろう、と思った発端です。
どんな事を掲載したか
うぅぅんと‥! ううううんと。誤解を恐れずに結果からいうと、めちゃくちゃ普通なことだけ掲載しました。本来であれば、コンセプトブックってめちゃくちゃコンセプトをとがらせて制作するわけなんです。なのになぜ普通にしたかというと、家事代行サービスはまだまだ知られて良い存在なので、まるごと中身を出すだけでかなりイメージがしやすい!となりうるが、それ自体がまだわかりにくい存在なのでコンセプチュアルにし過ぎるとお客様にとって抽象的すぎて難解なものになる可能性が高いからです。なので、等身大の会社をポイントだけおさえて出しました。もとが「よく分からないサービス」なので、写真があってどんな特徴で何を大切にしてるのかがわかるだけで、お客様の反応も変わると考えました。
前述したとおり、コンセプトブックって、お店や企業の取り扱い説明書なんです。だから、成熟していない業界では、読む人に合わせる事が大事だと。
ただ、家事代行サービスを使ったことがあり、ベアーズのサービスを未経験の方であれば、あれ、マジで?と思うポイントが1つはあるはずなんじゃないかな。逆に、ピンとくる部分がない方というのは、ピッタリとくるサービスが他にあるのかもしれません。と、思うことにしています‥。アセアセ。
また、なぜ成熟していない業界なのにカタログ制作ではないのか?を疑問に思われる方に逆に問います。
「なんで客なのに、わざわざ多量の情報の中から合うものを探さないといけないのだろう」と思われたこと、1度はないでしょうか。家電量販店などでの高い買い物では、検索しまくってやっと買うのも普通になっているんですけど、店頭でお兄さんに聞くのがいちばん速かったりしますよね。
ベアーズのお客様は皆さま超〜絶お忙しいワーママさんや、誰もが知ってるような方(めちゃくちゃ伝えたいが個人情報なのでガマン)もたくさんご利用中で、延々と価格表が掲載されたものが判断基準になるのだろうか。ならないですよね。特に重要な点は「安全か?」とか、企業価値のあたりじゃないかと考えました。なので、料金はスタンダードなものの月額の料金例のみ、さらっと掲載しました。それさえわかれば、あとは大丈夫。そんな風に判断されるとではないかと推察し、逆に言えばそうであるべきです。だから、サイズはバッグにも入れやすいA5にしました。
丸出しにするデメリットはないのか
社内のことや体制のことをたくさん出したワケだけど、それって少し怖くなかったかというと、ビビりなのでちょっとだけ怖かったんですね 笑。でも、結果からいうとメリットはあっても、デメリットはありません。良いところを伝えて失敗する可能性はすごく低いのに、伝えないほうが後悔するし、家事代行の社内体制は維持することが困難なので、現在の段階から中身を真似はできないし、しないと判断。
そして、真似出来ないことこそが企業価値だと思ったから。例えばConceptBookに似たものが後から出たとて、先に出しておくから「パイオニア」なのかなって。つまり、そんなものは先に出したもん勝ちです。あとは、その時期に、それを見たお客様が判断することだなあと。
そんな形で、昨年の今頃はお客様宅へ撮影にお伺いしたり、社内インタビューに明け暮れて、年末前後にライティングして装丁考えて‥、リリースまでかなりの期間がかかって完成しました。リアルなお客様のインタビュー自体は今までハードルが高かったんだけど、お客様に依頼してOKいただいて、インタビューへ行く時には、もうありがたくていろんな人の優しさが身にしみて、泣きそうな気持ちでした。
そんな気持ちはまた改めてnoteへしたためるとして、制作時の判断とか、考え方について少しでもご参考になれば、幸いです。
今回ご紹介したConceptBookは、資料請求いただくことで入手することができます。もし良かったら、お手元にとって、そしてできれば、ご意見いただけましたら幸いです。
※※こちらは2020年3月を以て終了としました※※
たくさんの資料請求をいただき、ありがとうございました!