漢検準1級に合格しました
念願の漢検準1級に合格しました。
今日、10時から漢検の公式サイトで合否速報が発表されていたので、受験番号を入力して確認してみたところ、合格してました!
具体的に何点だったのかはわかりませんが、自己採点では178点くらいでした。模範解答が出た時点で合格しているだろうとは思っていたのですが、確定ではなかったので自信はもてませんでした。
でも、今日合格とわかりほっとしました。とっても嬉しいです。
合格までのあれやこれやをまとめておこうかと思います。
準1級の受験を決意したきっかけ
きっかけは、実は7年くらい前まで遡ります。
今は中学校に勤務していますが、昔何かの間違いで、実力もないのに進学校の私立高校に勤務していました。
当時、社会人4年目でした。文学部を出たとはいえ、私が学生時代やってきたことは8割が合唱、残り2割が文学のこと、といった具合。先生を目指していたくせに、大して勉強していませんでした。
私立高校に勤める前も中学校に勤務していましたが、中学校では来る日も来る日も問題児の生活指導と部活の引率のみで、大して国語科の勉強や学級経営の勉強などできませんでした。
そんな私が何かの間違いで進学校の私立高校の常勤講師に採用されてしまい、授業が上手くいくはずがありません。古文も漢文もちゃんと読めない、現代文はかろうじてなんとかなる、というろくでもない教師でした。
だから、その高校にいた頃は死ぬほど勉強しました。自分の語彙力もアップしたかったので、その時漢検準1級の受験を考え、テキストを購入しました。が、ページを開いたとたん…
???
全くわからない。
当時は、仕事も忙しく、他に勉強することもあったので、漢検はそれっきりになりました。
時は流れ、妊娠を機会に実家に帰省したとき、たまたま当時購入した漢検準1級のテキストを見つけました。産休に入っていて、赤ちゃんもまだ産まれないし、時間もあったので暇潰しに勉強してみました。
高校に勤務していた頃は、全く読めないと思っていた漢字でしたが、妊娠の時は時間もあるし、そこまでわからないわけではなさそうだと感じました。
そこで、受験を決意しました。
準1級の難易度
私は大学時代に2級を取得していましたので、検定試験の勉強は何となくわかっていたつもりでした。
そもそも、漢検は英検や他の検定試験に比べて何となく軽視されがちです。生徒を見ていても、漢検を受験する人は英検受験者より圧倒的に少ないです。
それは、なぜかというと「たかが漢字」と思っているからです。「漢字なんて普段困ってないし、新聞とか難しい本とかちゃんと読めるし、いけるっしょ!」とみんな思うからです。
しかし、準1級は3級や2級とレベルが違います。
2級までは、日常生活のなかで目にする言葉が多く出題されます。しかし、準1級からは明治の文豪の本(森鴎外とか夏目漱石とか)に出てきそうな「それ、今の時代使う?」みたいな漢字しか出てこないといっても過言ではないです。
それから、前も記事にしましたが、中国の古典から引っ張ってきた四字熟語の多いことと言ったら!私は勉強し始めた頃は四字熟語が一つもわからなくて絶望的な気持ちになりました。しかし、だからと言って古典作品を読めば試験に受かるかといったらそれは違うともいます。テキストをやりこむのが先です。
とにかく、2級までの感覚でちょっと片手間に勉強すれば受かると思ったら大間違いなのはわかっておいた方がよいと思います。
第一回の試験に落ちる
私は去年の冬頃、実家で昔買ったテキストを見つけましたが、出産前後は切迫早産になったり、編み物をしたり、何か他に面白いものを見つけたりしてあまり真面目に勉強していませんでした。
赤ちゃんが産まれてからは、はっきり言ってもはや勉強どころではない!
できないわけではないけど、気力がわきませんでした。赤ちゃんもおっぱいだ、オムツだ、いろいろ要求してくるし。
というわけで、第一回の5、6月頃の試験は不合格でした。
その点数は、200点満点中、90点!
半分もいっていません。勉強できなかったので、当然です。
試験当日は、どんな人が受けに来ているのか、人間観察してました。大学生から中高年が多い印象でした。1~2人くらい小学生らしき人も見かけましたけど、合格したのか気になるところです。
第二回に向けてやったこと
ということで、一度試験に落ちたので反省しました。
最も悪かったのは、7年前購入したテキストをそのまま使っていたことです。直前になって知ったのですか、数年前に出題傾向が変わったとのこと。なので、7年前のテキストはやっても意味がなくはないけれど、微妙だということがわかりました。
そこで、いろいろリサーチして次のテキストを新しく買い直しました。
①史上最強の漢検マスター準1級問題集
こちらは、とりあえず試験1ヶ月前までに何回も繰り返してやりこむ用です。私は多分7、8回繰り返してやりました。付録の小冊子も5、6回やりました。
このテキストの良いところは、漢字の意味が載っているところです。漢検準1級の語彙は、普段見慣れないものが多く、中にはネットで探してもちゃんとした解説がないものもあります。なので、意味が載っているだけで勉強には役立ちます。
②本試験型 漢字検定準1級試験問題集 '24年版 (2024年版)
この問題集は、模擬試験が18回分あります。試験1ヶ月前くらいからやり混みました。難易度は少し高めです。①の問題集にない漢字がでてくるので、抜けや漏れはこちらでカバーしていました。この模試は2回くらい繰り返しやりました。とりあえず、数はこなせるかなと思います。
③漢検 準1級 過去問題集: 2023年3月発行
こちらの過去問は、直前の1、2週間前に一回軽くやりました。本番の難易度はこちらが正しいと思うので、一度はやっておいた方が良いかと思います。
④単語カードを活用
単語カードは漢検の勉強で一番役に立ったといっても過言ではないです。①や②のテキストを2、3回繰り返しやって、それでもできない熟語や、たまたまできたとしても意味がわからない熟語は単語カードに書きました。テキストと違っていいのは、簡単に復習できるところです。テキストだと、開いて、熟語を探さないといけませんが、単語カードに苦手なものをまとめれば、そこだけ集中的に復習することができますし、家事や育児のちょっとした隙間時間でもできます。何回も漢字を繰り返し書いて練習するより効率がいいです。
私は50単語書ける単語帳を20個くらい使いました。
⑤常用漢字筆順辞典(アプリ)
漢検準1級は、普段あまり目にしない漢字がいくつか出てきます。(「鬱」とか「竈」とかあります。)そうすると、読みはできても書けないことが結構あるので、こちらのアプリが非常に役に立ちました。書けない漢字をとりあえず手書きで書いて入力すれば、自分の字が下手でも似たような漢字の候補をあげてくれてそこから自分が探していた漢字を選ぶことができます。さらに、その漢字の書き順を自動で実演してくれるので、本当にワケわかんない漢字に巡りあったときは大助かりです。音読み、訓読み共に提示してくれるので、とても便利な漢和辞典として愛用してます。
私は国語を教えているので、漢検の勉強をする前からこのアプリはスマホに入れていました。普段指導する際も、「あれ、この漢字の書き順なんだっか?」「この漢字の音読み(訓読み)なんだっけ?」という時も使えるので、国語や日本語を教えているという人にはオススメアプリです。
⑥物真似芸人、きくりんさんのYouTube
漢検を勉強していて、モチベーションがいまいち上がらないときは、きくりんさんの動画をよく見ていました。テキストで勉強するのはもう飽きたなあと思ったら、YouTubeで勉強するのもありだと思います。
この方のYouTubeでは、漢検の様々な問題を出題してくれたり、勉強のしかたを教えてくれたりします。
きくりんさんは、本職は物真似芸人ですが、いろいろな検定試験に合格しているそうです。特に、漢検の動画をたくさん出しているので、見てみると面白いと思います。
さらに、この方は漢検一級も取得されていて、漢検協会賞も受賞されているそうです。すごい!
⑦おまけ
これは、メインで活用しないでください。ほんの1、2問役に立ったくらいなので。メインはテキストでの勉強です。お間違えないように。
◎中国ドラマを見る
漢検準1級レベルの問題は、ほぼ普段使わない言葉です。中国の古典から引用してきた熟語だらけです。ですから、中国語にもある言葉や名言が普通に登場します。わかりやすいのでいうと、「竪子、はかるに足らず」は『史記』が出典ですが、『三国志』のドラマに出てきているのを見ました。
それから、「允」という漢字ですが、『宮廷の諍い女』の主人公の思い人に允礼(いんれい)という男性がいて、それで読み方を覚えました。しかも、この漢字、訓読みが「まこと」なので、「允礼」=「まこと」さんなのだな、と思ってみたり。
◎人に話す
どうしてもわからない漢字は、人に話したり、説明してみたりしました。私の場合は、どうしても理解できない漢字はnoteの記事にしたこともあります。(嬋娟とか)
そうすると、大騒ぎした分、記憶に残りやすいので覚えます。
漢検を終えての感想
今回の第二回の本番の問題は、思っていたよりは簡単でした。簡単、というのはテキストで見た漢字が多かったということです。
過去問を見た限りでは、8割はテキストに載っている漢字で残り2割は「テキストに載ってないけど知ってるよね!?」みたいな謎の漢字が出てくるのですが、今回はそういうのが非常に少なかった気がします。これは、ネットで調べたところ、漢検準1級を受けた人はみんなそのような感想をもっている人が多かったです。
きくりんさんの動画でもそのような解説がありました。
ということは、今回の合格率は高めだと思います。
漢検準1級を持つメリット
私は中学校勤務なので、採用試験を受け直さない限り、高校生を教えることはありません。
そして、準1級をもっていたからといって、給料が上がるわけでもありません。そもそも、国語科教員で漢検をもっていない人もいますし、準1級をもっている先生もそんなに多くはないです。準1級もっている、なんて話をしたら「ずいぶんマニアックだな」と思われる可能性の方が高いです。
それでも、国語科教員として準1級をもっていることで、自信がつくと思います。
私は学生時代大して勉強してきませんでしたし、誉められたような授業もできません。しかし、漢字の知識だけは他の先生より少し多くもっているというのは、自分の強みになると思います。実際、今回勉強してみて自分の語彙力が格段に上がったと思います。この点に関しては、生徒たちにも自信をもって伝えられることです。自分を「ボキャ貧」と思うなら、漢検を受けろと自信をもって言えます。
今まで国語のなかで何が得意か、明言できませんでしたが、これで「漢字だけは負けません」と言えそうです。
それから、座右の銘にできそうな言葉や生徒指導に使えそうな言葉にもたくさん巡り合いました。そう考えると、国語の先生は漢検を極めても損はしないと思います。
1級はとらないのか、と言われますが、私の次の目標はHSKですし、1級はさらにマニアックなので漢検はとりあえずここで終わりにしようと思います。また1級を受けたくなる日が来たら、受けようかなと思います。
最後に
子供の育児があるのに漢検の勉強ができたのは、夫や祖父母の協力がとても大きいです。私が準1級に合格するのを応援し、育児にも協力してくれました。今回の合格は一人で勝ち取ったものではなく、家族で取ったものです。
そして、息子にも「お母さんは漢検準1級をもってるんだぞ」と言えます。息子の存在もモチベーションになりました。
みなさん、ありがとう!