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リハビリテーション専門職のための災害支援豆知識

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リハビリテーション専門職(特に言語聴覚士)が災害支援に関わる上で知っておくと良いかもしれないことをまとめています。
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#リハビリテーション

被災者に起こりうるリスクと言語聴覚士の活動 〜コミュニケーション障害の方への対応〜

被災者に起こりうるリスクと言語聴覚士の活動 〜コミュニケーション障害の方への対応〜

5)コミュニケーション障害の方への対応
日本PIC研究会と知的障害・自閉症児者のための読書活動を進める会が共同で作成した大災害時に、コミュニケーションがとれずに困っている人を支援するための災害用に使用するコミュニケーションボードも作成されている。大阪市の災害時コミュニケーションボードよりダウンロードもできる1,2)。
被災地の看護師、保健師など医療職や介護職・ヘルパー、行政担当者の方々のために、障

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被災高齢者に起こりうるリスクと言語聴覚士の活動 〜肺炎予防と口腔衛生〜

被災高齢者に起こりうるリスクと言語聴覚士の活動 〜肺炎予防と口腔衛生〜

1)肺炎予防・口腔衛生
災害関連死で最も多いのが肺炎と報告されている。災害時には、浄化された水の確保や洗面台の数等の問題と物品不足から口腔衛生環境が悪化しやすく、誤嚥性肺炎を発症しやすい。被災者の中には、避難時に歯ブラシや義歯、義歯洗浄剤などを持って出られず、口腔衛生物品が不足している者も多い。また、避難所で提供される歯ブラシが硬くて使用できない、義歯保管ケースがないため装用したまま就寝していると

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被災者に起こりうるリスクと言語聴覚士の活動

被災者に起こりうるリスクと言語聴覚士の活動

被災された高齢者や障害を抱えた方にに起こりうるリスクは非常に多い。そのうち、特に言語聴覚士が専門性を発揮できる部分を9項目挙げた。1項目づつ記事にしてます。

1)肺炎予防・口腔衛生
2)低栄養
3)嚥下障害者への対応
4)生活不活発病
5)コミュニケーション障害の方への対応
6)発達障害児・自閉症児や母親
7)聴覚障害者への対応
8)精神保健
9)コミュニティ形成

これら9項目の記事で使用して

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災害支援とリハビリテーション ことはじめ

災害支援とリハビリテーション ことはじめ

少しずつリハビリテーション専門職の中にも、災害支援活動に参加する方が増えてきたように思う。

日本は中国・インドネシア・イランに次いで地震大国である。1995年1月17日、阪神・淡路大震災が起こった。兵庫県を中心として関西の広域で甚大な被害を及ぼしました。小学生だったが、テレビに映る壮絶な光景はなんとなく記憶している。

その後、2011年3月11日、東日本大震災は宮城県を中心とした東北地方に津波

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被災地と災害医療

被災地と災害医療


1)災害のフェーズ
2)フェーズごとの言語聴覚士の役割
3)避難所の種類と状況

1)災害のフェーズ

災害時のフェーズは6つの区分に分かれている。

0期:発災直後:発災~6時間

1期:超急性期:72時間まで

2期:急性期:1週間程度まで

3期:亜急性期:1ヵ月程度まで

4期:慢性期:3ヵ月程度まで

5期:中長期:3ヵ月程度以降                 

である。

 主に

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