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読書記録34


十二人の死にたい子供達

初対面同士の子どもたちの目的は、みなで安楽死をすること。十二人が集まり、すんなり「実行」できるはずだった。しかし、「集いの場」に用意されていたベッドには、すでに一人の少年が横たわっていた――。
彼は一体誰なのか。自殺か、他殺か。このまま「実行」してもよいのか。この集いの原則「全員一致」にのっとり、子どもたちは多数決を取る。不測の事態を前に、議論し、互いを観察し、状況から謎を推理していく。彼らが辿り着く結論は。そして、この集いの本当の目的は――。

性格も価値観も育った環境も違う十二人がぶつけ合う、それぞれの死にたい理由。俊英・冲方丁が描く、思春期の煌めきと切なさが詰まった傑作。

初めは『十二人』という重要人物の登場人数に腰が引けていましたが、読み始めて少しすれば皆個性的でキャラが強いためすぐ覚えることが出来ました。

本作は世界中の子供達の闇を縮図した物語。
自分の無力さや自分だけではどうにもならない親の問題。子供(無知で無力)であることが罪であるかのような社会。

大人になると「子供の頃に戻りたい」という人は少なくない。
だけどそれは親の庇護のもとに幸せな子供時代を過ごせた人のみが言えることで、共感出来ない子供時代を過ごした人がいるということを忘れたくないものです。

少年と犬/馳星周さん

家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す―泥棒と犬。壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた―夫婦と犬。体を売って男に貢ぐ女。どん底の人生で女に温もりを与えたのは犬だった―娼婦と犬。老猟師の死期を知っていたかのように、その犬はやってきた―老人と犬。震災のショックで心を閉ざした少年は、その犬を見て微笑んだ―少年と犬。犬を愛する人に贈る感涙作。

ロマンティックなお話でした。

私はどちらかというと動物が苦手なためあまり共感は出来なかったのですが、犬好きで無くとも動物がお好きな方には胸温まるハートフル小説だと思います。

言葉が必要ないからこそ心地良い場合もある。
ただただそっと寄り添って温もりを分けて貰うだけで救われるものがある。
一人で埋められない心の隙間を埋めてくれるのは人間だけでは無い。

3時のアッコちゃん/柚木麻子さん

アッコ女史ふたたび! 大人気の「ランチのアッコちゃん」に、待望の続編が登場!!
表題作ほか、「メトロのアッコちゃん」「シュシュと猪」「梅田駅アンダーワールド」を含む全4編。

アッコちゃんシリーズ2作目。
前回『ランチのアッコちゃん

今回もアッコさんが強烈でいて可愛くて、展開もテンポが良いのでサクサクっと読めました。
落ち込んだ時、悩んだ時に鬱憤を吹き飛ばしてくれる物語。

周りと比べて落ち込む必要なんてない。
自分は自分。
限界を超えて頑張る必要はない。
出来ることを出来る範囲で精一杯やれば良い。

読後、張った肩肘を解してくれます。

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