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読書記録28


最近ハッキリ気づいた事があります。
(前から薄々は気づいていた)

自分がモノにも人にもあまり執着出来ないことに。

去るもの追わず。
追わずどころでは無い。
去ってしまっていることにすらなかなか気づけず、サッパリ無くなってから、あれ?無いな〜と気づく始末。
言わずもがなその後は、まぁいいか。

反対に、アレもコレも私のもの!触らないで!
という執着心が強い方もみえますが、そういう方を見かけると私はほぅと異星人を見たような気持ちになります。

人は人なので特にどうと言うことも無いですが、今の自分が楽な気持ち9割、たまにその熱心が羨ましくもある気持ち1割。
私も何か一つでも執着出来るものがあればなぁと思う日もあります。


あの日、君は何をした/まさきとしかさん

北関東の前林市で暮らす主婦の水野いづみ。平凡ながら幸せな彼女の生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。大樹が深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていたのはなぜなのか。十五年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心な妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は必死で辰彦を捜し出そうとする。捜査に当たる刑事の三ツ矢は、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵を掴み、衝撃の真実が明らかになる。家族が抱える闇と愛の極致を描く、傑作長編ミステリ。

完璧な人間なんてきっとどこにもいない。
誰もが一つや二つは誰にも言えない、もしくは自覚すらない闇を抱えている。

嫉妬、執着、殺意、心的障害、承認欲求…etc.

息子に惜しみない愛を捧ぐことができる反面、他者を簡単に傷つけたり切り捨てたり出来てしまうのが悲しいかな、人間の性なのでしょう。

ひとまず上出来/ジェーン・スーさん

重ねる歳はあるけれど、明けない夜はないはずだ。

CREA連載「●●と▲▲と私」に加え、SNSで話題沸騰の推しエッセイ「ラブレター・フロム・ヘル、或いは天国で寝言。」、
楽しいお買い物についての書きおろしも収録。
いまの自分の「ちょうどいい」を見つけよう、最新エッセイ集!

ジェーン・スーさんのエッセイ本。

初めから面白くて、不思議な事にたまに小難しい言い回しや言葉を使っていてもニュアンスで理解できる。

本から伝わるジェーン・スーさんは、負けん気が強くてプライドが高くてでもちょっぴり気が弱い部分もある。豪快で大雑把なのに繊細な部分も持ち合わせていて、ユーモアがあって実に人間らしい。
会ったこともテレビで見たこともない方なのに、エッセイを読めば読むほど好感度が上がっていきます。

たくさん学ぶところはあったのですが、中でもご紹介したいのはコチラ。
『毎日は選択の連続。しかし、選択の基準は意外と更新されていません。中年になると小さな選択が脳に多大な負荷をかけてくるので、ものさしを見直すのがなかなか難しいことになってくる。』
なるほど〜!と目から鱗。年配の方が頑固だと言われる所以はそういうことか、と。

他にも興味深い事が沢山書かれてますので、是非オススメ。

正欲/朝井リョウさん

あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。

息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。
しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、ひどく不都合なものだった――。
「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」

これは共感を呼ぶ傑作か? 
目を背けたくなる問題作か? 
作家生活10周年記念作品・黒版。
あなたの想像力の外側を行く、気迫の書下ろし長篇。

想像すらなし得ない世界がありました。
人は自分と全く違う世界に触れる時、理解するのに、受け入れるのに、膨大な時間と気力がいるのだと感じさせられました。

『多様性』という言葉が世界的に浸透し始めて、主にLGBTQなどに関心を持つ方も増えています。
ですが異性愛者からすれば、生まれたままの性で生きている人からすれば、結局は『私達とは違うけど、受け入れるよ』と言う姿勢にどうしてもなってしまう。
そうするとLGBTQを『正しい欲』、つまり人間のあるべき姿、と考える人は結局のところほんの一握りしかいないのでは無いでしょうか。

この作品は『多様性』が一人歩きしている問題の根幹の部分を曝け出したモノであり、今こそ読んで欲しい一作です。

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