京都も登別温泉も?それってホントにオーバーツーリズムなの?その意味を深掘り!
✈️オーバーツーリズムとは?
観光地として人気が高まる一方で、過剰な観光客の訪問が地域に深刻な影響を及ぼしている現象、それが『オーバーツーリズム(Overtourism)』です。
この言葉は近年、特に観光産業の発展が加速する中で注目されるようになりました。簡単に言えば、観光客が増えすぎて、地域や住民、そして観光客自身にも悪影響を与える状況を指します。
例えば、京都の清水寺や嵐山、イタリアのベネチア、スペインのバルセロナなど、世界的に有名な観光地で起こる混雑や住民生活への影響が、オーバーツーリズムの具体例です。
これらの場所では、訪問者が集まりすぎることで環境や文化が損なわれたり、住民が日常生活を送りづらくなったりする問題が発生しています。
この記事では、オーバーツーリズムとは何か、その影響と具体例、そして私たちにできることについてわかりやすく解説していきます。
❌オーバーツーリズムが起きる背景
オーバーツーリズムがなぜ起きるのかを考えると、いくつかの要因が挙げられます。
1. 観光地の魅力が特定の場所に集中している
人気の観光地は、独自の景観や文化的価値、歴史的な建造物など、特別な魅力を持っています。京都の清水寺や金閣寺のように、「ここだけでしか体験できない」と思わせる場所には、多くの人が訪れます。
2. SNSの影響
InstagramやYouTubeの普及により、観光客が訪れた場所の写真や動画が世界中にシェアされます。特に「映える」スポットは急速に注目を集め、一部の観光地が過密状態になります。嵐山の竹林や登別温泉の地獄谷などがその一例です。
3. 交通アクセスの向上
格安航空会社(LCC)の増加や、新幹線などの高速鉄道の整備により、観光地へのアクセスが便利になりました。以前は訪れるのが難しかった場所にも、短時間で多くの人が行けるようになったのです。
4. 観光政策の成功
政府や自治体が観光を経済成長の柱として推進した結果、インバウンド観光(外国人観光客)の増加が一部地域で観光地のオーバーロードを引き起こしています。京都はその典型的な例です。
オーバーツーリズムがもたらす影響
1. 環境へのダメージ
観光客が増えると、自然環境がダメージを受けることがあります。たとえば、登別温泉では地熱資源が乱用される可能性がありますし、京都の鴨川沿いではゴミが増加する問題が報告されています。
観光地での自然破壊は、地域の魅力を失わせるだけでなく、地球環境にも悪影響を与えます。
2. 住民の生活への影響
観光客が押し寄せることで、地元住民の生活にも負担がかかります。京都の祇園では、観光客が舞妓さんを無断で写真撮影したり、住居エリアにまで侵入したりするケースが問題視されています。
また、民泊施設の増加により家賃が高騰し、地元住民が生活しづらくなる現象も起きています。
3. 文化や伝統の喪失
過剰な観光によって、本来の文化や伝統が失われることがあります。観光地が「観光客のための演出」を優先し、本来の姿を維持できなくなるケースです。これにより、その土地の本質的な魅力が薄れてしまうリスクがあります。
4. 観光客自身への影響
混雑した観光地では、観光客も本来楽しむべき体験ができなくなります。清水寺や金閣寺での人混みは、静かに歴史や文化を感じる余裕を奪い去ります。
電車やバスの混雑はオーバーツーリズム?
登別温泉に旅行に行ったと言う人から「外国人観光客がたくさん電車やバスに乗っていて、日本人旅行者の私が快適に旅行できない!オーバーツーリズムだ!」という声が出ていたりしますが、この状況は、一概にオーバーツーリズムとは言えず、観光インフラの「一時的な過負荷」や「混雑問題」の範疇と言えるでしょう。
では、観光インフラの「一時的な過負荷」や「混雑問題」と「オーバーツーリズム」の違いを詳しく見ていきましょう。
❌⭕️オーバーツーリズムとの違い
オーバーツーリズムは、観光客の増加が地域社会や環境に大きな負荷を与え、持続可能性を損なう状況を指します。
一方で、電車やバスの混雑は、観光インフラが一時的に需要を上回っている状態を反映しているにすぎない場合があります。
以下のような条件が満たされない限り、それはオーバーツーリズムとは見なされないでしょう:
住民生活への深刻な影響:観光客の増加により、地元住民が日常的な移動や生活を制限されている場合。
インフラの恒常的な過負荷:交通機関の遅延や運行停止が頻繁に発生し、地域全体が混乱する場合。
観光客自身の体験の質低下:過密状態が原因で観光地の魅力が著しく損なわれる場合。
👓広い視点での考察
混雑は確かに不便ですが、その背景には観光需要の高まりや観光政策の成功があることも事実です。観光客の増加に伴い、地域経済に恩恵をもたらしている可能性もあります。
そのため、「快適さの喪失」を超えて、観光地全体にどのような影響があるのかを考えることが重要です。
たとえば、京都では観光客の集中が交通インフラに負担をかけている一方で、混雑解消のためのバス増発や観光客の分散施策が進められています。
このような取り組みを通じて、観光地と観光客、地元住民のバランスを見つけることが求められます。
🟧オーバーツーリズムの具体例
🗾京都
京都は日本国内でもオーバーツーリズムが最も深刻な地域の一つです。観光地の過密化による住民生活への影響はもちろん、文化財の保護にまで影響を与えています。
しかし、京都では、オーバーツーリズムの問題に対応するためにいくつかの対策が取られています。全く何もしていないわけではありませんが、その効果や課題について議論は続いています。
1. 観光税の導入
京都市は2018年から宿泊税(観光税)を導入しています。この税収は、観光の質を向上させるための施策や地域住民の負担軽減に使われています。例えば、観光客向けの案内施設の整備や公共交通機関の改善が進められています。
2. 観光客の分散化施策
混雑が集中しがちな清水寺や嵐山のようなエリアから、あまり知られていない周辺地域への観光客誘導を目指しています。具体的には、新しい観光ルートの提案や地元の祭り・イベントを活用したプロモーションが行われています。
3. 公共交通機関の混雑緩和
京都市は観光シーズンにおけるバスの増発や、観光客と住民の利用を分ける取り組みを進めています。また、外国人観光客向けに公共交通機関の案内を多言語化し、利用しやすい環境を整えています。
4. 観光客へのマナー啓発
観光客に対して、地域文化や住民生活への配慮を呼びかけるキャンペーンが行われています。「歩きスマホ禁止」「舞妓撮影のルール」など、具体的なマナーの啓発が進んでいます。
5. デジタル技術の活用
観光地の混雑状況をリアルタイムで把握できるシステムを導入し、混雑を避けたい観光客が情報を参考に行動を調整できるようにしています。
♨️登別温泉
北海道の登別温泉も、外国人観光客の増加が顕著です。ただし、現在のところ温泉街は観光客を受け入れる体制が整っているため、京都ほどの問題は生じていません。
登別温泉では、オーバーツーリズムを防ぐために対策をしてきたわけではないのですが、長年にわたり地域の資源保護や観光の質を向上させるための取り組みとして実施されてきたものが多いです。
1. 温泉資源の持続可能な管理
登別温泉では、温泉資源が地域の生命線であるため、その利用を慎重に管理しています。温泉の湯量や温度の監視を行い、過剰な利用を防ぐ取り組みが進められています。
これにより、観光客が増加しても資源を枯渇させないように配慮しています。
2. 観光客への啓発活動
訪問者に対して、自然や温泉文化を大切にするマナー啓発が行われています。例えば、観光案内所や宿泊施設で、地元の環境保護の重要性やルールを説明し、観光客の理解を深める取り組みを実施しています。
3. 地域の分散観光の促進
登別温泉だけに観光客が集中しないよう、周辺エリアへの観光誘導が試みられています。
地元の観光協会は、地獄谷や温泉街以外にも自然体験やアクティビティを楽しめるスポットを積極的にプロモーションしています。これにより、温泉街の混雑を緩和する狙いがあります。
4. 公共交通機関の利用促進
登別温泉では、公共交通機関の利用を促進するための案内が強化されています。観光客に専用バスやシャトルバスを案内し、観光地への車両の流入を抑制する努力が進められています。
5. 地域住民との協力体制
地元住民の意見を取り入れながら観光施策を進めることで、地域と観光客の共存を目指しています。住民が安心して暮らせる環境を保ちながら、観光産業の発展を支える仕組み作りが続けられています。
🇮🇹ベネチア
イタリアのベネチアは、観光客が多すぎるために住民が減少し、「観光地化」が進んでいます。観光船による環境破壊も深刻な問題です。
そのために、ベネチアでもオーバーツーリズム対策が行われるようになりました。
1. 入場料の導入
2024年から、ベネチアは観光客に対して「入場料」を課す方針を決定しました。この施策は日帰り観光客を対象としており、滞在客や地元住民は免除されます。これは、観光客数の抑制と地域の負担軽減を目的としています。
2. 観光船の規制
ベネチアの歴史的地区やラグーンにおける環境破壊を防ぐため、大型観光船の市街地への侵入が禁止されています。これにより、街や環境に与える負担が軽減されました。
3. 混雑状況のモニタリング
デジタル技術を活用して観光地の混雑をリアルタイムで監視し、観光客の流れをコントロールしています。このデータは観光計画の調整や分散化の施策に活用されています。
4. 観光客の分散化
ベネチア本島以外の周辺島(ムラーノ島、ブラーノ島など)への観光客誘導を強化しています。これにより、本島の混雑を緩和しつつ、地域全体の観光資源を活用する取り組みが行われています。
5. 地域住民を支援する施策
地元住民が街から離れるのを防ぐため、住宅の短期賃貸規制が強化されました。これは、Airbnbのような短期民泊の増加に伴う家賃高騰や住環境の悪化を抑えることを目的としています。
👫私たちにできること
オーバーツーリズムを防ぐために、観光客一人ひとりが意識を変えることが重要です。
訪問する場所を分散させる
有名な観光地だけでなく、近隣のあまり知られていない地域を訪れることで、混雑を緩和する手助けができます。環境やマナーを守る
ゴミを捨てない、静かに行動するなど、観光地でのマナーを守ることは基本です。持続可能な観光を支援する
地域の文化や環境を大切にするツアーや施設を選ぶことで、観光が地域にとって負担ではなく恩恵になるようにできます。
まとめ
オーバーツーリズムは観光地に深刻な影響を及ぼす現象ですが、一人ひとりが意識を持つことで、観光地との「良い関係」を築くことが可能です。
京都や登別温泉のような美しい場所を、次世代に引き継ぐためにも、私たちは観光の在り方を見直し、持続可能な選択をしていく必要があります。
観光は素晴らしい体験ですが、その土地や人々への影響を忘れず、より良い未来を共に作り上げていきましょう!
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