他人と一緒になるということ。
気付いたら2週間経っていた。
先月、私は結婚した。
付き合い始めてちょうど2年の記念日だった。
その日は偶然にも2が揃う2022年2月22日で、世間ではスーパー猫の日とも言われていた。
(ちなみに夫婦共に犬派である。)
「結婚して何か変わった?」と様々な人に聞かれたが、正直何が変わったかは分からない。指輪を見るたびに、良い意味で結婚の重さを感じるし身が引き締まるが、そもそも同棲をしていたので何ら変わりのない日常を過ごしている。
他人と住むことなんて自分にはできないと思っていた。私は18の時、大学進学と同時に上京してきた。そこから35になるまで、東京での生活を約17年してきているが、一人暮らしをしていた学生時代もあれば、姉妹と住んでいた時もあった。同棲に憧れていた時もあったし、何なら学生時代10年ほどお付き合いしていた人と同棲したこともあった。しかしその彼とは10年付き合ったにも関わらず、同棲を始めて半年で解消し、更には別れる結末になった。彼と結婚すると思っていたし、別れるなんて論外だと思っていたから心底ショックだった。お陰で同棲に対して良い印象は無くなった。
半年の同棲を解消した後、再び一人暮らしを始めた私は、ローカル線だけど程よく交通の便がいい場所を選んだ。失恋を忘れるかのように何もかも環境を変えた。住む場所だけでなく、同じタイミングで転職もした。新たな自分になりたかった。30で再び始めた一人暮らしは、快適で快適でたまらなかった。仕事から帰れば風呂にも入らずダラダラし、食事も自分だけの為に作るから適当でも問題ない。誘われたらフットワーク軽く飲みにも行った。週末は必ず行きつけの店に顔を出し、休みの日は朝からヨガに通い、夜は女友達と出逢いの場と呼ばれる場所に片っ端から足を運んだ。そんな生活に私は充実しつつ、どこか焦りも感じていた。
そんな中、週末いつものように行きつけの店に顔を出すと、同じように週末に来る猫背のひょろっとした男性がカウンターに座っていた。お互い7.8年は店に通っている、いわゆる常連てやつだ。この人が後に私の夫になる人だ。正直、前々からの知り合いと付き合うとか想像もしていなかったし、そもそも男として意識もしていなかった。だけど話してみると驚くほど気が合う。うまく言葉にできないけど不思議なくらいに何かが合う感覚があった。
そこから程なくして付き合うことになったのだが、同時にコロナ旋風が起きる。偶然にも近所に住んでいた為、週末は行き来する生活をしていた。遠出はできなかったが、2人で過ごせることが楽しかった。付き合って3ヶ月が経った頃「同棲」というワードが出るようになった。彼のことは好きだが他人と住む自信がないが、お互い30半ばになるし結婚も視野に入れる年齢だよなぁと思い、付き合って1年過ぎた頃に思い切って同棲を始めた。一人暮らしでマイルールが染み付いている私と、一人暮らししている割には全くこだわりのない彼がうまく行くはずがなく、同棲を始めて1週間で緊急会議が開かれた。主に私からの彼への不満をぶつける時間だった。もうこれでダメになっても仕方ないとさえ思ったが、驚くくらいに彼の懐はデカかった。ここで10年付き合った元彼が思い出された。元彼には嫌われたくない一心で機嫌を伺って話していたし、別れたくなくて何かあるごとに謝ることばかりしていた。だけど、今の彼と付き合って同棲や結婚に対しての考え方が変わった。好き嫌いで付き合うのではなく、お互いの不満も受け入れてお互いに寄り添うことが結婚なんだと感じた。彼とならそれができるだろうなと確信したのだった。
そんな彼が私の夫になり2週間。
今までと何ら変わりはないけど、毎日笑わせてくれる夫に感謝している。2人でも楽しいのだから、家族が増えたらもっと楽しいんだろうなと今から将来の生活が楽しみでたまらない。
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