筆で描きたくなる色鉛筆 DERWENT INKTENSE PENCIL
新しい水彩色鉛筆を買いました。水彩色鉛筆はカランダッシュのスプラカラ―ソフトを小学生のころから愛用していています。小5の時に継母の30色セットを譲り受け、中2の時に120色の木箱入りセットをお誕生日プレゼントでもらいました。以来私の宝物の一つで、社会人になってからは、棚にグラスに入れて飾り、もちろん絵を描くのに使っていました。東日本大震災でその棚が派手に倒れて、数本が折れましたが、削ればまた元通り、使い続けました。結婚して以来、木箱にしまってそのままにしていましたが、子どもが生まれて、よく絵を描くようになったので、またコップにいれて箱に並べて、いつでも手に取れるようにしました。
子どもたちは120色を自在に使って1日20枚くらいコピー用紙に書きなぐっています。5歳児のように描きたい、といった画伯は誰だったか、素人の私でもうらやましく思うほどの無限の創造力に圧倒され、私もまた本腰を入れて絵を描きたいと思うようになりました。
こういうとき、形から入るのは私の悪い癖なのですが、スプラカラーソフトとはちょっと違う書き味の色鉛筆がほしい、と思い始めました。もう少し濃く発色して、ぐりぐりクレヨンのように描ける色鉛筆。子ども時代に戻れるような、思い切りのいい色鉛筆はないだろうか。インスタにミクストメディアの素敵なイラストが沢山流れてくるので、油性色鉛筆もいいかもと思い始めたのもこのころです。
プロのアーティストはカランダッシュのルミナンスを使っているらしい、でも1本500円越え!、ダーウェントのライトファストは同等らしいがお値段も同等だし…カリスマカラーがクレヨン系と聞いたけれど、どうかしら、などと逡巡、なぜか突如パステル色鉛筆かも!と思い立ちスタビロのカーブオセロの12色入りを買ってしまいました。サイズ感は持ち運びにもいいのですが、何せパステルなので、描いたものがよれる。。。手帳やノートの片側にうつるし、数日で絵が原型をとどめなくなっています。1枚ずつ描くかフィキサチーフを使えばいいんでしょうけれど、手帳のイラストにちょっと色塗る、とかにも気軽に使いたいんだよなー。やっぱり油性か・・・とぐるぐる。
油性色鉛筆と言えば、ファーバーカステルのポリクロモスも名品との呼び声高く。でもなんだかまじめな色合いで私のほしい感じとちがう(や、こちらも100色以上あるのでいろんな色があるでしょうが、深緑のパッケージとか落ち着いた雰囲気でなんとなく。)
そうこうしているうちに、私メーカーに結構こだわっているんだな、と気づきました。カリスマカラーは良さそうだけど、本国アメリカのプリズマカラーから芯を買って日本で作っている?昔はベロール社という英国の会社でそれがアメリカに買われた?買うなら国産のカリスマカラーだけど年末で生産終了なの??がーん。カランダッシュはもう持ってるので違うブランドを試したい。ファーバーカステルは先の理由でなしとすると、ダーウェントじゃない?そう、私はロンドン帰り。スノーマンもピーターラビットもダーウェントの色鉛筆で描かれたんだよね。ネットには軸の木がモソモソ、だとか塗装が剥げてた、だとか評されていて、確かにイギリス製じゃ期待できないのは納得(失礼)・・・でもそれを上回るストーリー性と、特殊さ、があるのがダーウェントが一押ししているインクテンスなのです!
インクテンスペンシルは、水を付けるとカラーインクのように鮮やかに発色し、乾けば耐水性があり、紙にも布にも描ける色鉛筆。水彩色鉛筆や水彩絵の具は何度でも溶かせますが、インクテンスは乾くと定着する、というのが珍しいポイントです。
長い前置き。そんなわけで突然ダーウェントインクテンスペンシルが燦然と候補に挙がったわけです。油性色鉛筆探してたんじゃないのかーいという話ですが、一度検索すると欲しくないですかと定期的にメールを送ってくるアマゾンの戦略にまんまとひっかかり、買ってしまいました。
イルカのパッケージが美しい、24色セット。これがもう素晴らしい。というのも、水を含ませた時の発色がものすごく鮮やかなのです。色鉛筆として描けて、その色のまま伸ばすこともできる通常の水彩色鉛筆とは全然違います。ドライで使ったときはくすんで落ち着いた色合いなのに、水を付けた瞬間ブリリアントに、カラーインクのように発色するのです。水で濡らすのがとにかく楽しい。手帳にささっと色塗り用、と思っていたのに、スケッチブックと水を入れたコップを毎朝広げたくなるくらい、子どもの筆も借りちゃうくらい、描きたい気持ちが沸き上がってきます。
色鉛筆としてだけでなく、芯に直接水を付けてクレヨンのようにぐりぐりと、別のところに塗って溶かして絵具のように、いろいろな使い方ができます。布にも描けるので、名前ペンでは見えない、濃い色の布袋の記名に白を使ったりもしています。水に溶けない鉛筆のようなアウトライナーがセットに入っているのも便利です。
その他使い方は、ぜひ缶のイラストを手掛けたLachri Fine ARTさんの超絶テクニック動画をご確認ください。
子どもたちも気に入ったようで、絵の具の気分の時は「いつものじゃなくて大人用の、大事に使うから」と要求されます。彼らの自由な使い方から、学ぶことも多いです。
そんなわけで、このインクテンスを手に入れてから、私の毎日はかなり色鮮やかになりました。そして、水筆を持ち運べる、ジッパー付きの手帳が欲しいと思うようになり始め…新しい手帳を迎えてしまった話につながります。