アカデミー賞2022をTwitterのクチコミとともに振り返ってみた
こんにちはモダンエイジの映画大好きマーケター、栗原です。
さて先日3/28、第94回目となるアカデミー賞(アカデミー賞2022)の発表が行われました。
アカデミー賞は、アメリカおよび世界の映画界で最高の栄誉とされ、日本でも大きく報道されるため、映画好きはもちろんのこと、映画にさほど興味関心がない人でさえ知っている賞かと思います。
映画においては最も影響力の高い賞といっても過言ではないので、アカデミー賞の、特に主要な賞を受賞した作品は、メディアでも盛んに取り扱われ、PRが行われることによって、「この映画は観るべき映画なのだ」という”空気”を作り出すことができます。
賞が及ぼすPR効果については、下記記事で詳しくまとめていますので、ぜひご一読ください。
様々な理由から、今年2022年度のアカデミー賞は、例年以上に日本国内でも注目を集めました。ただ注目を集めていたにも関わらず、作品を多くの人に届けるうえで有効なアカデミー賞が、今年は十分に影響力を発揮できていなかったようにも思います。
今回はそんな波乱のアカデミー賞2022を、弊社ソーシャルリスニングツールBoom Researchを活用し、ユーザーの生の声が聞けるTwitterでのクチコミとともに振り返ってみたいと思います。
■2022「アカデミー賞」のTwitterクチコミの特徴
それではまず、昨年度2021と今年2022における、「アカデミー賞」というキーワードが含まれるクチコミ数を比較してみましょう。
図①は授賞式開催当日から約一週間(2022:3/28-4/3,2021:4/26-5/2)のクチコミ数を比較したものです。
これを見ると、今年2022のアカデミー賞の注目度がいかに高かったか、一目瞭然かと思います。同期間の「アカデミー賞」クチコミ総数を比較しても、2021年が318,830、2022年が1,098,760となっており、昨年と比較して3倍以上のクチコミがTwitter上でなされています。
では2022年度はどんなキーワードと一緒にクチこまれていたのか、どんなキーワードがより注目を集めたのか。それを一覧化したのが図②です。
左上から「アカデミー賞」と一緒にクチこまれていた頻度の高いキーワードになります。
今回アカデミー賞の注目を高めたのは、言ってしまえば、ウィル・スミスのビンタ騒動(司会のクリス・ロックが妻を侮辱するジョークを飛ばしたのに対し、ウィル・スミスが壇上に上がり、クリス・ロックをビンタした事件)と『ドライブ・マイ・カー』のアカデミー賞ノミネートだったのですが、実際にクチこまれたのはウィル・スミスのビンタ事件についてが圧倒的に多かったようです。
投稿された頻度の多かった左上は、ほとんどがビンタ騒動についてで占められており、『ドライブ・マイ・カー』のクチコミについては、一段目の最後にようやく出てくるくらい、ましてや実質の最高賞である作品賞を受賞した『コーダ あいのうた』については、3段目になるまで全く出てきません。
試しに昨年2021年の「アカデミー賞」頻出キーワードを図③で見てみましたが、アカデミー作品賞を受賞した『ノマドランド』やクロエ・ジャオ監督、『ミナリ』などの作品が中心にクチこまれており、いかに2022が異例だったのかわかります。
■さらにTwitterクチコミを色々な切口から分析してみた
図④⑤では、アカデミー主要賞を受賞した作品を中心に、キーワード別でのクチコミ推移をみてみました。それらを並べても、やはり「ウィル・スミス」のクチコミが圧倒的。次いで、国際長編映画賞『ドライブ・マイ・カー』、作品賞『コーダ あいのうた』と続きますが、「ウィル・スミス」のキーワードが、次点の『ドライブ・マイ・カー』に、およそ8倍もの差をつけているような状況です。
ではそんなアカデミー賞の話題を席巻した「ウィル・スミス」は、アカデミー賞期間中、どのようなキーワードと一緒にクチこまれていたのでしょうか?それを可視化したのが図⑥です。
ほとんどが、「クリス・ロック」や「ビンタ」といった騒動の話題が中心となっており、せっかくウィル・スミスが念願のアカデミー主演男優賞を獲得した作品『ドリームプラン』についての話題はほとんど見かけません。
注目度が高くなった本年度のアカデミー賞でしたが、ウィル・スミス個人の話題が大きな割合を占めており、そのウィル・スミスですらも、作品については、ほとんど語られず、騒動ばかりにフォーカスされてしまっている…。
Twitterのクチコミを実際に見てみても、アカデミー賞2022は、例年と比べても「肝心の作品が注目を浴びづらかった異例のアカデミー賞」ということができそうです。
■アカデミー賞2022はそのPR効果を生かしきれるのか?
冒頭にも述べた通り、アカデミー賞はメディアでも取り上げられる可能性が高く、受賞した作品にとって非常にポジティブな影響を及ぼします。
当時日本では無名だったバリー・ジェンキンス監督の『ムーンライト』がアカデミー作品賞を受賞し、一躍脚光を浴びたことは記憶に新しいと思います。
私の見た限りにはなりますが、今回はアカデミー賞に関する各所の報道も、ウィル・スミスのビンタ事件が中心だったように思います。流石に邦画の栄誉ということもあり、『ドライブ・マイ・カー』はしっかりと紹介されていますが、作品賞を受賞した『コーダ あいのうた』や、それこそウィル・スミス主演の『ドリームプラン』などの作品は十分に紹介されていないなと。
各報道機関もアカデミー賞に割ける時間や紙面も限られているので、議論を呼びやすいビンタ事件の話題に力点を置くことは致し方がないことだと思います。
ただこのビンタ騒動がなく、ちゃんと作品に目を向けられていたならば、『コーダ あいのうた』などの素晴らしい作品がメディアでも扱われ、”空気づくり”が行われていた可能性があると思うと、少し残念で悔しい気持ちがあります。(特に『コーダ』は聾啞者のトロイ・コッツァーが助演男優賞を受賞したりとニュース性も高いのに)
『コーダ あいのうた』も『ドライブ・マイ・カー』もアカデミー賞の受賞を受け、続々と公開館が拡大していますが、今回の異例のアカデミー賞の影響力がどの程度動員にかえってくるのか、その影響力に注目していきたいと思います。
最後になりますが、アカデミー賞を受賞した映画は、本当に素晴らしい作品ばかりなので、もっともっと多くの人に届くことを強く祈っております。
(はやく『リコリス・ピザ』観たいなぁ~~)
良かったらフォローをお願い致します!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?