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【幸福知のためのワークショップ・シリーズ standART beyond】②タイトルに込めたもの

人間は、自然の、生命の、一部だ。

だから、
「じぶん」という意識の届かないところで、
人は、生命全体と知らぬ間に
いつも会話している。

知らぬ間に信号を受けとり、
知らぬ間に信号を放つ。

人間の頭は、それを忘れてしまう。
自然や宇宙や生命から、
独立して機能しようとする。
独立して機能できると思いこむ。

でも、事実、
人間は生命から生まれて、
生命へと還る、
ひとときの、
かたちなき、うたかたのかたちだ。

人がけして、
その全貌も原動力も
知りえることのない、
「生命そのもの」に、
わたしたちはほんのひととき、
その小さな一部の表現として、
かりそめのかたちを与えられる。

その受動、その部分性(そんな言葉があるとして)が、
人間の生のすがただ。

その蛍の儚い明滅のような生を、

「生きていて本当によかった」
「これがわたしの生きている意味だ」

と感じながら過ごすには、

頭ではわからないものを
どう受け取り、どう生きるかなのだと思う。

本当の知性は、
頭が良いこと、ではない。
頭だけでは、世界のことはわからないから。

きっと、ずっと、永遠に。

わからないものを、
わからないままに受けとる。

それが、新しく、
そしておそらくはとても古い、
本質を知るための知のありかたなのだと思う。

わからないままに。
でも、確かに。
わからないまま、わかる。

そんな、知のかたち。

そのためには、
頭だけではなくて、
身体も、心も、魂も使って、
世界へと、生命へと、ひらくこと。
頭だけの領域から、
柔らかに一歩、向こう側へと踏み越えること。

そんな、
内なる真摯と、
外なる宇宙との、
替えのきかない生々しいコミュニケーションは、
「アート」と呼ばれる営みの質でもある。

アート的な知性、
人間と宇宙とが、
わからないものを投げ、受けとりあう
会話の力としての知性。

それが、新しい知のスタンダードに
なればいいと願って、
このワークショップを始めました。

standART beyond

この名前には、
これからの知のstandardが、
たんなる理性の向こう側beyondまでも広がる、
ART的なものになればいいという願いが
込められています。

ちなみに、
「向こう側」を表すbeyondには、
「彼岸」という意味もあります。
あの世とか、この世ならぬ領域とか、
そんな、あちら側、という意味。

オカルトに走りたいわけではなく笑、
「理性には理解できないものを感知する力」を、
あやしくないものとして、
人間に不可欠なものとして、
知の欠かせない一部としてカウントしたい、
という想いがあるのです。

理性が認識できないことが、
宇宙には満ちているから。

なんで生まれて、なんで生きるのか。
いのちって何か。
なんで幸せだと思いたいのか。
なんで幸せだと思えないと、
どれほど恵まれていても
生きる価値を見失うのか。

そんな簡単なことすら、
人間には、きっとずっとわからないのに、
今ここで、
人間は、人生を生きなくてはいけない。

人間を生きるということは、
そんな不思議な宿命にあるということで。

ならば、
人間にとって、もっとも大切な知とは、
すべてを支配するように知ることではなく、
「生命の一部としてよく生きるための知」
ではないかと思う。

宇宙の、地球の一部として、
生きものとして、
人間として、
はかなきものとして、
けれど、
喜びをもとめ、愛をもとめ、
生きる意味をもとめ、
幸せをもとめる存在として。

その知がどんなものか、
その答えは、

これからもずっと人類みんなで探すものでもあり、
ひとりひとりの内側にあるものでもあり、
見つかったと思ったら、また先にもっと
ああ見つかった、これだ、と
ずっと、何度も、
永遠に感じ続けるようなものでもある。

本質へとアクセスする。
全身全霊で、
生きものとしての感覚senseを使い切る。
生きものとしてのセンサーsensorをひらく。

それをただ、生きているあいだ、
やりつづける。
会話しつづける。
信号を受けとりつづける。
信号を放ちつづける。

不思議なことに、
そうやって生きることは、
根源的な喜びの感覚を、
満ち足りた幸福の感覚を、
人の内側にともすから。

そしてさらに不思議なことには、
そういう人が増えるほどに、
世界からは善悪や争いが減って、
自分も、他人も、他の存在たちも、地球も、
同時に幸福度が上がる作用が生まれるから。

わからないものを
わからないままわかる、という
「直観知」こそが、
ほんとうに大切なことを考えるための、
ほんものの知性の基盤なのだという想いで、

やわらかな内なる子どもの純粋さにアクセスしつつ、
この世を遊ぶワークショップのシリーズにしてゆけたら、と思っています。

いよいよ今週末は第一回。
東大駒場キャンパスで、5/11土曜日、
14時から17時。
ゲストにアーティストで疫学研究者のハブヒロシを迎えます。

どなたでもご参加できますので、
ぜひお越しください。

お申込みはこちらから
https://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2024/05/standart_beyond_art_workshop_s/

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