日記 大哺乳類展3とタイタンシネマライブ
某月某日。
6月には祝日が無い。
無ければ自分で作ればいいじゃない、ということで有休を取った。
せっかくの平日の休みならば、普段できないことをやりたい。
上野・国立科学博物館の特別展「大哺乳類展3」が終了間近と知り、駆け込みで行くことにした(上野での展示は現在すでに終了)。
平日とは思えぬ大盛況で場内は混んでいた。私のような駆け込み勢も多かったのだろうか。
今回は「生物多様性研究の礎となる「分類」と「系統」がテーマ」とのことで「分類」を生かした展示方法がウリということだったが、自分の目当てはあくまでも約200体もの剝製標本であり、それさえ見れれば大満足なのであった。
特別展の入場者は常設展を見てもよろしい、とのことだったので「地球館」にも足を伸ばす。
地球館3階では「大哺乳類展3」の基盤にもなっている剝製標本の一大コレクション「ヨシモトコレクション」が見られる。
数年前、何の基礎知識も無く初めてこのコレクションを見たときは本当にぶったまげた。
剥製の出来が良く、ベタな表現で恐縮だが本当に「今にも動き出しそうである」。
それらがみんな一定方向を向いてフィギュアのように並べられており、「よくもまぁこんなにも集めたものだ……」とため息をついてしまう。
その大量の数もさることながら、剥製である以上、ここにあるものには全て人間の手が掛かっている。そこに掛けられた途方もない時間やお金を想像すると、いつも気が遠くなる。
そして、これらを収集せずにはいられなかったハワイの実業家・ヨシモト氏はどういう気持でこのコレクションを眺めていたのだろうかという方向に想像は進み、大量の剝製標本の向こう側にうっすら見えてくる「人間」の存在やその心理に私は畏れを抱く。
たくさんの死者(剝製標本)を保有したヨシモト氏も、すでにこの世にいない。
片手落ちだと思うのは、このコレクションの最後のピースとしてヨシモト氏の剥……というのはブラック過ぎるのでやめておこう。
『平家物語』を全編読み通すのもいいが、時短をしたい人であれば、地球館3階のヨシモトコレクションを一目見た方が手っ取り早く「諸行無常」の本質を掴むことが出来るだろう。
夜は映画館でタイタンシネマライブを見る。
各演者の出番前、青空文庫あたりから取ってきたような古い小説の一節で芸人を紹介する「エピグラフ演出」があり、これを見るたびに「あぁ、今日もライブが始まったなぁ……」と胸が高鳴る。
「バキバキ童貞」でお馴染みのぐんぴぃと「サイコパス」で市民権を得つつある土岡哲朗(出川さんと一緒の名前なのか……)のコンビ・春のヒコーキはタイタン所属である。
「新興宗教の教祖による洗脳動画を違法ダウンロードで倍速視聴する青年」のコント、面白かった。
彼らについてよく言われていることであるが、ネタの実力は申し分ないのだが、YouTubeチャンネルが大成功して食えてしまっている分、コンテストで勝ちきるネタ作りのガッツが育っていないという意見をよく見る。それは確かに合っている部分はあるのかもしれないが、ライブでの定点観測で確認する限り、彼らは着々と良いネタを仕上げ、積み上げていっている。
YouTubeだけではなく地上波でもよく見かける存在としてタイタンの大看板に成長するのはもう時間の問題だろう。
このライブは事務所所属の芸人より、ゲストの方が何故か面白く感じられることが個人的には多い。「タイタンライブ」という老舗の檜舞台に自ずと気合が入るのだろうか。
ラブレターズの「アメリカ人の小粋な青年とジュビロ磐田の狂った女サポーター」のコントは「どうやったらこんな発想思いつくんだ!?」と驚愕と爆笑の狭間で見ている内に神経がおかしくなりそうだった。笑った笑った。
さや香は好みのコンビではないのだが、この日の「人間動物園」のネタは「こりゃ~人気にもなっちゃうよ」と思わせる納得の出来で、面白い漫才をやる二人組であった。
BOOMER&プリンプリン。
「西遊記」という設定からして全くそそらないが、それがいい!
4人のおじさんがワチャワチャしているという空間にこそ価値があるのだから。
不動の大トリ・爆笑問題。
ライブの爆笑問題は毒っ気充分で「本来の爆笑さんの形だなぁ」と思う。
小池百合子でボケるパートが妙に長いのがよかった。そして終盤のディズニープリンセスディスりの畳みかけが圧巻でございました。
朝から夜まで充実の一日だった。
クタクタになって眠る。
大量の彼らが行進する夢を見た。その中には私も混じっていた。