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PJW23最終回 出産
海幸彦(うみさちひこ)を屈服させた山幸彦(やまさちひこ)(以下、ヤマピー)は地上世界を統治することになった。
そんな時、妻の豊玉姫(とよたまひめ)(以下、トト)が、妹の玉依姫(たまよりひめ)(以下、タマ)と共に海からやって来た。
ヤマピー「おおっ! トト! 来てくれたんか?!」
トト「実は・・・妊娠しちゃって・・・。」
ヤマピー「そ・・・そうか。こんなに嬉しいことはないんやじ。」
タマ「私は、トト姉ちゃんのお世話をするために一緒に来たのよ。」
ヤマピー「初めての出産やかい(だから)、心細い姉を励ましてやってくれ。」
タマ「了解!」
トト「・・・というわけで、天上世界の神様である天津神(あまつかみ)を、海で産むわけにもいかないから、地上に来たのよ。」
ヤマピー「そ・・・そうか。では早速、産小屋(うぶごや)を建てるじ。」
こうして、ヤマピーは波打ち際に産小屋を建て、妻の出産準備を始めた。
ところが「トト」は、小屋が完成する前に産気づいてしまう。
仕方なく、不完全な産小屋で出産を始める「トト」。
そのとき「トト」は、夫に、ある頼み事をした。
トト「出産の折は、本来の姿に戻ってしまうので、決して覗かないでくださいね。」
ヤマピー「おおっ! 分かった。覗いてはダメなんやな?」
しかし、好奇心に逆らえなかった「ヤマピー」は、産小屋の隙間から覗いてしまった。
するとそこには、美しい妻ではなく、巨大なサメの姿が!
驚愕した「ヤマピー」は逃走。
本来の姿を見られた「トト」は、恥かしさのあまり、子を産むと海に戻ってしまう。
ヤマピー「トト! 帰ってきてほしいんやじ。」
トト「あなたは約束を破られたのですよ。こんな辱めを受けて、どうして仲睦まじく暮らせましょうや。」
ヤマピー「で・・・でも、子供はどうするんや? どうやって育てたらええんや?」
トト「妹のタマちゃんに、養育を御願いしようと思ってます。」
ヤマピー「そ・・・そんなぁ。」
結局、海から「トト」が戻ってくることはなかった。
妹の「タマ」は、姉の子を預かり、育てていくこととなった。
この子が、彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえず・のみこと)(以下、ウーガ)である。
やがて成長した「ウーガ」は、育ての母である「タマ」に想いを打ち明けた。
ウーガ「結婚して欲しいんやじ。」
タマ「えっ!?」
こうして、二人の間に、四人の男の子が産まれた。
長男:彦五瀬命(ひこいつせ・のみこと)
次男:稲飯命(いなひ・のみこと)
三男:三毛入野命(みけいりの・のみこと)
四男:狭野尊(さの・のみこと)
この四兄弟が、東征を開始するのである。
物語は、ジャパンウォーズへと続いていく。