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投票率が低い理由

今回の衆議院議員選挙の投票率が、推定で53.81%になるとほうじられていました。

数字の低さに、歎く声なども有ると報じられていましたが、私は、当たり前なんじゃないかな・・・と思ったりもします。

というのも、我が国は、国民主権を唱えておきながら、実質は、選民主権だからです。

選ばれし者だけが、政治を運営している、まるで、平安時代の貴族のような状況となっているように思うのです。

かつて、我が国は、投票率が低いことを問題視し、選挙権を18歳にまで引き下げました。

しかし、もう一つの権利に関しては、全く手を出そうとはしませんでした。

もう一つの権利・・・。

それは、被選挙権です。

政治家たちの心の声が聞こえてきます。

投票は、して欲しいが、政治そのものには、関わらないで欲しい。

その声を数字に表したものが、供託金制度です。

立候補する際に、支払わなければならない、お金のことなのですが、我が国の供託金が、幾らなのか、みなさんは、御存知でしょうか?

衆議院選挙区への立候補に必要な供託金は、300万円なのです。

参議院の選挙区や、都道府県知事の立候補にも、300万円が必要です。

政令指定都市の市長への立候補には、240万円。

それ以外の市長への立候補には、100万円。

都道府県議会議員の立候補には、60万円。

町村長、政令指定都市の議会議員の立候補には、50万円。

政令指定都市以外の議会議員の立候補には、30万円。

町村の議会議員の立候補には、15万円。

とにかく、300万円とか100万円とか、そんな、お金をポンと出せる人以外は、政治に参画することが出来ない仕組みになっているのです。

ですから、どうあがいても、一般国民の視点に立てば、政治とは、お金持ちが運営するもので、国民は、そんな人たちに、国の行く末を託すもの・・・となるわけです。

まるで、貴族や大名に任せっきりの、お百姓さんの感覚ですよね。

それで良しとしてきたのが、我が国の歴史なのです。

こんな感覚なので、戦争に負けても、軍部や政府の所為にしちゃうわけです。

更には、天皇陛下の所為にする者も出る始末。

立憲民主主義って、知ってますか?・・・と問いかけたくなるレベルです。

本当に、供託金が高すぎるのです。

イギリスでは、下院への供託金は、約8万円です。

我が国の町村の議会議員の供託金以下です。

ついでに、他の国々も、見ておきましょう。

オーストラリアでは、上院が18万4千円、下院が9万2千円。

インドでは、上院が1万7千円、下院が4万2千円。

アイルランドでは、比例代表が、6万5千円です。

ちなみに、アメリカ、ドイツ、イタリアには、供託金制度が有りません。

フランスは、2000年に供託金制度を廃止しました。

カナダも、2017年に供託金制度を廃止しています。

なお、ドイツでは、供託金の代わりに、立候補に必要な署名数を定める制度を採用しています。

他国の状況を見ていくと、我が国が、どれだけ高い金額を設定しているのか、よくわかったと思います。

国民主権と言いながら、国民を政治から遠ざけている現状を想うと、投票率が低いのも、むべなるかな・・・といった感覚に陥るのです。

余談になりますが、我が国が供託金制度を採用したのは、1928年(昭和3)の普通選挙制度開始からとなります。

全ての成人男子が、投票出来るようになった時に、設けられたのです。

これは、共産主義者などの無産階級が進出しないために取られた措置でした。

よく、普通選挙制度と治安維持法をセットで語ることがありますが、供託金制度について言及しないのは、知られると困るからなんでしょうかね。

そういうわけで、1928年(昭和3)より前の選挙に関しては、誰でも立候補出来ていたのでした。

投票権を持った人が、一定の税金を払っている人に限られている時代でしたが・・・。

投票率よりも、供託金について語る時代が来ているんじゃないですかね。



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