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JW44 土を取れ
【神武東征編】EP44 土を取れ
八十梟帥(やそたける)と兄磯城(えしき)の軍勢に驚愕した、狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)は、打開策を得るため、夢を通じて、天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)に助けを乞うことにした。
様式美というか、お決まりというか、案の定、夢の中に天照大神が現れた。
アマ「寝るとは・・・そなたにしては、良き考えじゃぞ。」
サノ「と・・・とにかく、助言を御願い致しまする!」
アマ「ならば聞くが良い。天香久山(あまのかぐやま)の社(やしろ)の中の土を取り、天平瓮(あまのひらか)を80枚作るのじゃ。」
サノ「天平瓮とは?」
アマ「平らな『かわらけ』という意味じゃ。素焼きの土器ということじゃな。」
![かわらけ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64424260/picture_pc_9cdef383cb1a8dc2205a76dd53f902ed.png?width=1200)
サノ「す・・・素焼き?」
アマ「なにゆえ、分からぬのじゃっ!」
サノ「ど・・・読者のためにござりまする。」
アマ「何もつけずに、そのまま焼くということじゃ。」
サノ「しょ・・・承知致しもうした!」
アマ「それから、厳瓮(いつへ)も作って、天神地祇(てんじんちぎ)を敬い祀(まつ)れ。天神地祇とは、八百万の神ということじゃ。厳瓮とは、神酒(みき)を入れる神聖な瓶のことじゃ。それと、厳呪詛(いつのかしり)もするのじゃぞ。飲食を慎み、心身を清めて、呪いの言葉を言うことじゃっ! 分かったな!?」
![厳瓶](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64424409/picture_pc_e9dd39e0c5aa55536e4b0f948632e209.png)
サノ「わ・・・分かりもうした。」
返事をしたところで、サノは夢から覚めた。
その時、弟猾(おとうかし)がやって来て、サノに一策を披露(ひろう)してきた。
弟猾(おとうかし)「磯城邑(しき・のむら)の八十梟帥と、高尾張邑(たかおわり・のむら)の赤銅(あかがね)の八十梟帥が中心になってるみたいです。天香久山の土を取って、天平瓮を作り、神々を祀れば、勝てるんじゃないでしょうか?」
![磐余と磯城](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64424446/picture_pc_b48718c8218d185079734ce84331f88c.png?width=1200)
サノ「そ・・・それは、夢と同じぞ。これは吉兆(きっちょう)? 天祐(てんゆう)?」
こうして、サノ一行は、天照大神の奇策に従うことにした。
サノ「・・・ということで、天香久山の社の中の土を取って参れ!」
その時、八咫烏(やたがらす)(以下、三本足)がツッコミを入れてきた。
三本足「おめえ馬鹿かっ?! それとも、アマちゃんが馬鹿なのかっ?!」
サノ「馬鹿とは、天照様に失礼ではないか! それに、我(われ)も馬鹿ではないっ!」
三本足「じゃあ、知ってんのか? 天香久山は、敵陣の向こう側ってこと・・・。」
サノ「なっ? 敵陣の向こう側?」
三本足「そうだっ。敵陣を越えて行かなきゃ、辿り着けねぇんだ。」
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