PJW16 地上征服開始
大国主神(おおくにぬしのかみ)(以下、くにやん)が国造りを進めていた頃、高天原(たかまのはら)では、地上世界征服計画が立案されていた。
そこで天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、あま)は、我が子の天忍穗耳尊(あめのおしほみみ・のみこと)(以下、耳)を呼び出した。
あま「わらわは、今度、地上世界を征服することに致した。」
耳「そうですか。それで、我(われ)を呼んだ理由は?」
あま「汝(いまし:あなたの意)を地上世界に派遣致す。しっかり治めて参れ。」
耳「しょ・・・承知致しました。」
こうして地上世界に降り立った「耳」。
しかし、地上があまりにも騒がしく、手に負えないと判断。
「耳」は高天原に帰ったのであった。
高御産巣日神(たかみむすひのかみ)(以下、高)と「あま」は、八百万の神々を集め、どの神を地上世界に派遣するべきか尋ねた。
思金神(おもいかねのかみ)と神々は相談した。
そして「天菩比命(あめのほひ・のみこと)(以下、ホヒ)を派遣するべき」という結論に至る。
G7とかG20(Gは、GODSのG)の結論を受け、「あま」は「ホヒ」に、地上を治める「くにやん」の元へ行くよう命じた。
しかし、「ホヒ」は「くにやん」の家来となり、3年経っても高天原に戻らなかったのであった。
次に派遣されたのは、天稚彦(あめのわかひこ)(以下、わか)であった。
「わか」は弓矢を授けられ、地上に降り立つ。
まず征服計画の第一段階として、「くにやん」の娘、下照姫(したてるひめ)と結婚。
ところが、家族の一員となったことで、「わか」に心境の変化が・・・。
自らが地上世界の王になろう!
抱いてはいけない野望を抱いてしまったのである。
そのころ、「あま」は「わか」から報告がないので不審に思っていた。
そこで「あま」は事情を問い質すため、雉名鳴女(きぎしのななきめ)という雉(きじ)を派遣。
雉は「わか」の屋敷の木にとまると、「あま」からの伝言を伝えた。
すると天探女(あめのさぐめ)という女神が「うるさいゆえ、射殺すっていうのはどう?」と進言。
言われた通り、「わか」が矢を射ると、矢は雉を貫通し、高天原まで届いたのであった。
これを受け「高」は言った。
高「あいつに邪心があるなら、当たるはずじゃ。」
そして、矢を地上世界に投げ返した。
矢は見事「わか」に命中!
胸を射抜かれた「わか」は即死だったという。
愛する夫を失った下照姫は、悲しみの中、葬式を執り行った。
このとき、「わか」の友人、味耜高彦根命(あじすきたかひこね・のみこと)(以下、あじ)が弔問(ちょうもん)にやって来た。
あじ「このたびはご愁傷様でした。お悔み申し上げます。」
下照姫「あ・・・あなた・・・生きてたのね! 愛してるわ!」
いきなり抱きついてきた下照姫に、「あじ」は困惑するほかない。
あじ「どういうことじゃ?!」
下照姫「もう離さない! 決して離しませぬ!」
実は「わか」と「あじ」は、顔が非常によく似ていたのであった。
下照姫は「あじ」を見て、夫が生きていたと勘違いしてしまったのである。
死者に間違われた「あじ」は激怒。
死者を安置するための喪屋(もや)を破壊したのであった。
つづく
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