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若返り部屋、見っけ。

モノいわぬ名も知らぬ仲間がくれる充実時間。西宮北口「勉強カフェ」で、できるヤツになる。

 締切迫るライター仕事を持って、日曜朝の図書館を訪れた。自習室はすでに受験生たちで満席だ。数十年前の自分の姿がそれにかぶり、切ない思いが蘇る。
 勉強するということは今や社会人の間でもひとつのトレンド。
 自宅では集中できないとなれば、以前なら公共の図書館ぐらいしかなかったが、昨今社会人に人気なのが、街の有料自習室だ。
 図書館をあきらめた筆者は、西宮北口にある有料自習室「勉強カフェ」の無料体験チラシを手に、駅から歩いて3分のビルに向かった。
 5Fの扉を開けて目に入ったのは、ゆったりした相向かいのソファ。説明によると会話ができるのはここだけ。
 廊下にはフリードリンクサービスのコーナー。注目したのは、その背にある壁だ。
 「宅建2級突破」等々、まるで学業神社で見かけるような手書きの御札がずらり。なるほど、こうした熱量のある人ばかりが集まっているということか。
 その奥が会話ご法度の集中スペース。利用者は机に向かって皆一心不乱の様子。
 筆者はこの集中部屋で都合5時間ほど過ごしたのだが、そんな雰囲気にのまれ、締め切りの記事1本はなんなく完成。調子に乗って次の1本も仕上げてしまった。
 何をしてもらった訳でもないのに、部屋にいた仲間と作り上げたような不思議な感覚だった。
 朝、図書館で感じた若き日の記憶の切なさ。それは「今じゃできない」という悲しさ。
 だが、この初めての自習室体験は、「いや俺だってまだやれるぜ」というびっくりの若返り体験になった。

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