現代の教養のための大学入試小論文 #5 ~子どもの遊び~
ごきげんよう。小論ラボの菊池です。拙著もよろしくお願いいたします。
今回は「子どもの遊び」を扱います。みなさんは、子どもの頃、どのようなことをして遊んでいましたか?
キーワード
子どもの遊び
説明・要約
子どもにとっては、生活のすべてが遊びの対象であり、それには必ずハンディがつく。ありとあらゆる状況に対応してハンディを作ってきた。これは大人にたよって作られていったのではなく、子どもという生き物が、自分たちで考えてきたものだ。子どもの遊びの世界では、能力的にゼロに近い小さな子まで巻き込んで楽しむよう、それでいて能力ゼロの子が、能力のある子にスポイルされないようにしている。大人であれば、利益やプライドがちらついて、最後は勝負になる。一方、子どもの遊びだと、お互いが楽しくなければやめてしまう。楽しむことが目的だから、単純なのだ。楽しむことで子どもの遊びが成立すると言える。
出題校
鳥取大学地域学部地域学科人間形成コース(後期)
出典
加古里子『絵本への道ー遊びの世界から科学の絵本へー』福音館書店 1999
解説
なぜ子どもは遊ぶのでしょうか。この文章の筆者からすればその答えは明快で、「楽しむため」です。子どもたちは楽しくなければ遊ぶのをやめるわけですから、確かにそう言えるでしょう。子どもは遊びの中で、ある種の規範意識を学んだり、仲間とのコミュニケーションの取り方を学んだりします。そうして子どもは成長していきます。もしここで、大人によって「正しい遊び」と「悪い遊び」に分けられたとしたら、子どもとしては面白くないでしょう。子どもの遊びは純粋な「楽しみ」に由来するわけですから。
ちなみに、早稲田大学スポーツ科学部で、「大人になるとかくれんぼうをしなくなるのはなぜか」という小論文の問題が出題されたことがあります。この文章にもヒントがありそうですね。
大人になると「利益」や「プライド」が絡んで「勝負」になるというのは、少し切ない気持ちにもなりますね。
それでは♨
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