菊池秀策

予備校講師(小論文、現代文、古文、漢文、英語)。福岡県立修猷館高校・早稲田大学法学部卒業。小論文専門予備校「小論ラボ」の主宰です。 https://www.shouronlabo.net/ ご連絡はkikuchishusaku@kikuchijuku.netまでお願いいたします。

菊池秀策

予備校講師(小論文、現代文、古文、漢文、英語)。福岡県立修猷館高校・早稲田大学法学部卒業。小論文専門予備校「小論ラボ」の主宰です。 https://www.shouronlabo.net/ ご連絡はkikuchishusaku@kikuchijuku.netまでお願いいたします。

マガジン

  • 現代の教養のための大学入試小論文

    現代を生きる視点が鋭くなるような知見や知識を、最新の大学入試の小論文の問題からご紹介していくマガジンです。

最近の記事

経験したことがないことについて論じる法

おはようございます。菊池です。 私の専門は小論文なので、小論文を教えるときに、どうやって生徒が興味をもっていないことに対して書いてもらうか?について書きます。とはいえ、おそらくこれはほかの学問分野とか、ほかの勉強、特に受験勉強にも関わってくると思うのです。 とある授業から。 数年前、私がまだ福岡にいる間ですね。こういった小論文の問題がありました。 高名な書物の文章をあげて という問題があったのです。 では、これについて、高校生がどう書くか。  これを読んでもらってい

    • 大学入試小論文スタート講義

      こんにちは。小論文専門予備校 小論ラボの菊池です。大学入試の学校推薦型選抜や総合型選抜が近く、小論文に不安を抱いている受験生も多いかと思いまして、参考となるような資料を作成しました。ご覧いただければ幸いです。 ※二次利用・無断転載・無断複製はお断りいたします。 参考になったよ!という方はコメントやスキをしていただけると嬉しいです。

      • 30日完成小論文ドリル(看護医療編)

        使い方・特徴まったく小論文に触れていない状態からはじめて、大学入試の小論文試験に対応できるだけの力を30日でつけるためのドリルです。 対象は高校3年生を想定していますが、高校2年生、1年生、もしくは中学生から始めても全く問題ありません、 対応する問題形式は、テーマ型・課題文型・図表型です。理数系の問題を含む総合問題には対応していないのでご注意ください。 入試形式としては、一般入試はもとより、学校推薦型選抜および総合型選抜に対応しています。 PDFファイルをダウンロードしたうえ

        • 小論文の「ズレ」講座

           お久しぶりです。菊池です。今回は大学入試小論文における「ズレ」について扱います。おりしも学校推薦型選抜や総合型選抜も佳境なので、参考になればと思います。  次の入試問題に対する「答案」には様々な意味での「ズレ」があります。この場合の「ズレ」は大学入試における小論文における、答案としての不整合な点だと考えていただければと思います。架空の「答案」にどのような「ズレ」があるか、考えながら読んでみてください。 問題 最近スマートフォンの普及をはじめ、あらゆる分野でインターネット

        マガジン

        • 現代の教養のための大学入試小論文
          15本

        記事

          現代の教養のための大学入試小論文 #20 ~「技術知」と「思想知」~

          ごきげんよう。小論ラボの菊池です。 https://www.shouronlabo.net/ 聞きなれない言葉かもしれませんが、「技術知」と「思想知」の区別を扱います。これらは生活に深く根差したものでもあるのです。 キーワード説明と要約出典島崎隆「認識論の現代的課題」(仲本章夫著『認識・知識・意識』創風社、1992年) 出題校岐阜大学地域科学部(前期) 解説 普段私たちは、たとえばこの投資に関する本を読めば儲けが出るのか、といったように、自身の目的について、その手段

          現代の教養のための大学入試小論文 #20 ~「技術知」と「思想知」~

          大学入試小論文スタート講義資料配布

          私の主宰する小論文専門予備校「小論ラボ」で受講開始時に配付しているプリントをアップします。 小論文を書くにあたっての「いろは」をまとめたものです。ご参考までに。 ※無断転載、無断複製、無断での商用利用はお控えください。

          大学入試小論文スタート講義資料配布

          石巻専修大学小論文模範解答例

          こんにちは。菊池です。久々に小論文の模範解答例をアップしてみます。 課題  現在では、数式の意味や使い方がわからなくてもエクセルに式を入れると計算結果を出してくれるし、数学の問題を写真に撮るだけで問題を解いてくれるアプリも登場した。このような時代になってきたのである。一方で、大学では数学を必修として勉強することになる。数学の勉強についてあなたの考えを述べなさい。(600字以内) (石巻専修大学理工学部) 解答  数学の勉強は、理工系の分野に限らず様々な分野で応用できるから

          石巻専修大学小論文模範解答例

          現代の教養のための大学入試小論文 #19 ~子ども遊びと「地べた」~

          ごきげんよう。小論ラボの菊池です。 昔と比べて、現在では子どもの遊びがどのような形になっているのか、「地べた」を軸に展開した課題文を扱います。 キーワード子どもの遊びと「地べた」 説明と要約 遊びに関していえば、昔は「遊ぶ」といえば「外で遊ぶ」ことと同じ意味であったし、どの遊びも「地べた」と仲が良かった。  地面は遊びのアイテムとしての役割を超えて、私たちに「感じる」あるいは「そこにとどまる」という感覚を養ってくれていた。  現代では、都会に住んでいれば一日の生活の

          現代の教養のための大学入試小論文 #19 ~子ども遊びと「地べた」~

          現代の教養のための大学入試小論文 #18 ~医薬品の知的財産権~

          ごきげんよう。小論ラボの菊池です。 今回は「公衆衛生のために使われる医薬品に知的財産権はあるか」というテーマです。異なる二つの視点からの意見があります。 キーワード医薬品の特許における強制実施権 世界貿易機関(WTO)協定で認められた、緊急時に政府が独自の判断で特許の利用を国内企業に認める権利のこと。2001年にカタールのドーハで開かれたWTOの会合で「国民の生命を脅かす感染症などの治療薬に限って自国内の生産を認める」ことが決まった。 説明と要約 医薬品の特許における

          現代の教養のための大学入試小論文 #18 ~医薬品の知的財産権~

          現代の教養のための大学入試小論文 #17 ~海水の大循環~

          ごきげんよう。小論ラボの菊池です。 今回は海洋における「海水の大循環」を扱います。海洋生命科学部からの出題ですが、中学レベルの理科の知識があれば理解できる問題です。 キーワード海水の大循環 大西洋、太平洋、インド洋をまたいで、水温と塩分の違いによって生じる海水の循環のこと。ブロッカーが提唱した。 説明と要約 海では、暖かい海水は密度が小さいために上にとどまり、下には沈降しない。この状態が続くと、下の冷たい海水は底層にとどまり続ける。海水中には様々な有機物があり、それらは

          現代の教養のための大学入試小論文 #17 ~海水の大循環~

          現代の教養のための大学入試小論文 #16 ~通過儀礼~

          ごきげんよう。小論ラボの菊池です。 今回は「通過儀礼」と、それが果たしてきた役割についてです。現代の「通過儀礼」といえば「成人式」などがあるでしょうか。それには深い意味があるようです。 キーワード通過儀礼:子どもが大人になる過程でおこなわれる行事のこと 説明・要約 かつて存在したが現在は消滅した「通過儀礼」の映像から、一人の人間の生命観が、かつてと今日では違うことに気付かされる。現在の私たちは生命を個体性によって捉える。ふたつの生命は無関係な位置にあるかもしれないし何ら

          現代の教養のための大学入試小論文 #16 ~通過儀礼~

          2021年度慶應義塾大学文学部一般選抜小論文模範解答例

          2/15に行われたばかりの慶應義塾大学文学部の模範解答例です。問題はこちら。 設問Ⅰ この文章を320字以上400字以内で要約しなさい。 吉田兼好の「徒然草」を主題とした論争があった。国文学者による、「つれづれ」とは自己内省の状態であるとした西洋的な思想の影響を受けた論考がある。それに影響された評論家たちは「つれづれ」の態度に芸術家・批評家としての自己内省や人生観照の精神を見出した。こうした見方には、「徒然草」という作品の多様性や複雑さを根拠にした批判が国文学者から見られ

          2021年度慶應義塾大学文学部一般選抜小論文模範解答例

          現代の教養のための大学入試小論文 #15 ~〈若者〉の溶解~

          ごきげんよう。小論ラボの菊池です。 今回は〈若者〉についてです。「最近の若者は~」という物言いは、しばしば憤慨や嘆きを伴います。ではその「若者」とは誰のことなのでしょうか。 キーワード〈若者〉の溶解 説明と要約 若者論が「今日の若者は○×化しつつある」という変化の語りであるのに対し、そのような語りをなす人々の足元こそが大きく変化している。その足元の変化とは、「若者」なるカテゴリーの輪郭が溶解し、もはや主語の位置を占めるのが難しいまでに不明瞭化した、というものだ。たとえば

          現代の教養のための大学入試小論文 #15 ~〈若者〉の溶解~

          現代の教養のための大学入試小論文 #14 ~文章を味わうこと~

          ごきげんよう。小論ラボの菊池です。 三島由紀夫の文章から、「文章を味わうことはどういうことか」をテーマにした課題文を扱います。文学系では意外と昔の文章が出題されることがありますね。 キーワード文章を味わうこと 説明・要約 現代では文章を味わう習慣が少なくなるのは当然である。しかし、昔の人は小説を味わうと言えば、まずは文章を味わったのである。今日の小説の読者にとっては目的地が大切で、その途中のことは気にしない。一方、昔の人は本の中をじっくり自分の足で歩いたといえる。小説は

          現代の教養のための大学入試小論文 #14 ~文章を味わうこと~

          小論文スタート講義

          ごきげんよう。小論ラボの菊池です。 小論文わからん!!という方のために、小論文の初歩をまとめました。 [1]小論文のスタートライン(1)小論文とは―自分の考えを筋道立てて論じた文章―  「小論文」は「作文」とは違います。「作文」は「論理性がなくても許される」文章です。一方「小論文」は「自分の考えについて、論理性をもって書かれた」文章です。そして「小論文」は「書くべきことが規定されている」文章です。  「小論文」を書くときには、与えられた論題に対して論理だった主張をするもの

          小論文スタート講義

          現代の教養のための大学入試小論文 #13 ~「人種」概念の虚構性~

          ごきげんよう。小論ラボの菊池です。 今回は「人種」を扱います。人種というと、「白色人種」とか「黄色人種」とかが思い浮かびますが、その「分類」は妥当なのでしょうか。 キーワード「人種」概念の虚構性 説明・要約 「人種」という言葉は、生物学上の「種」概念と混同してはならない。「種」概念は個体間の生殖可能性によって定義される。それ以外の単位は客観的基準で定義される概念ではなく、単に学会の慣習によって定義されただけだ。人類はただ一つの種をなす。生物学者によって人種概念が使用され

          現代の教養のための大学入試小論文 #13 ~「人種」概念の虚構性~