現代の教養のための大学入試小論文 #3 ~教育者に求められるもの~
ごきげんよう。小論ラボの菊池です。拙著もよろしくお願いいたします。
本日は「教育者に求められるもの」を扱います。私自身、一般的には「教育者」の末端ですから、身につまされる思いです。
教育者に求められるもの
人というのは、自分にとって重要な他者が思っているような人間になる傾向がある。その人から期待されると伸びていくし、期待されないと、「それくらいでいい」と開き直ってしまう。期待されるとは「ほめる」ことであり、ほめるという行為の中には、他者からのこうなってほしいという期待感が込められている。
これからの教育者には待つ力とほめる力が重要だ。もちろん、適否の判断をする目をもたないといけないが、直接的に言っても相手はついてこない。それを見抜いたうえでほめて自信をもたせ、やる気に火をつけるのが教育者の技だ。
出題校
東京福祉大学
出典
齋藤孝 「教育力」 岩波書店 2007年
解説
教育において、ほめることで相手のアイデンティティが健全な方向で形成されるという論考もあります。この文章では、「ほめる」のは「期待すること」と同じものだとしている点が重要です。単に「ほめる」だけではなく、相手の人柄や特性を把握し、それぞれにあった「期待」のかけ方が必要なのでしょう。そのさじ加減は難しいですが、そこが教育者の腕の見せ所といったところですね。
それでは♨
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