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武士道60

本日の伺った現場はトイレの水漏れ。
お客様は凄く姿勢の良い溌剌とした中年女性だった。

菊池「お待たせ致しました。〇〇の菊池と申します。本日はよろしくお願いします。」

名刺をお渡しすると。

女性「真琴…。ふぅーん。なんだか女の子みたいな漢字の名前の方ね。」

菊池「はいっ!私女性なので ^ ^ 」

女性「!?!?!?」
「女性で水道屋さん!?」
「何故この仕事をしているの?」
「おいくつなの?」
「ご結婚は?」
「お子さんは!?」

と。怒涛の質問攻めに合う。笑
どこから何をどこまでどのように説明したら良いか凄く悩んでしまい。

菊池「うぅーん…。父を尊敬してて…。ですかねぇ。」
などと今の仕事を始めるにあたっては思い付きもしなかった言葉が口から飛び出してしまった。
(※どーでも良い情報ですが私の父は公務員で長年水道対応の役職に付いてたので嘘ではありません。)

突如話は変わって。

女性「あら!あなた!正座が凄くきれい!!」

ーーー私は基本的にお客様の前では正座でお話する事にしています。(何となく落ち着くから 笑)ーーー

「私は60になってから〇〇(武道)を始めたんだけどもね、正座っていうのはね…〇▲♫☆□✴︎…。」
「武道っていうのは礼儀が大切でね…〇▲♫☆□✴︎…。」
「姿勢が大事…〇▲♫☆□✴︎…。」

菊池「はい!」
「はいっ!」
「はいっ!」

あぁ。この感じ。なんだか凄く懐かしい…。

私のバックボーンは剣道。
中学から親元を離れて大人になるまでずっと剣道だけに全て注いで生きて来た。

高校時代の真夜中のミーティング。
当時は何時間も血が回らなくなってぶっ倒れる寸前まで正座させられた。
先生や先輩に叱られてる時や教えを乞うている時のあの何ともいえない感覚。
それに近い懐かしい感じが全身を包んでいた。

女性の教えて下さる武士道論を相槌代わりに挟む返事に全勢力を注いで聞き続けた。
水漏れはそっちのけで…。笑

何分が経過した事だろうか…。

話続ける女性。

菊池「〇〇様。」
女性「〇▲♫☆□✴︎…。」
菊池「あの。〇〇様。」
女性「!?なによ!」
菊池「いえ。あの。水漏れは…。」

女性「ちょっと!早く直してちょうだい!!」
菊池「!?…はい!直ちに!笑」


大人になって忘れかけていた懐かしい感覚を呼び覚ましてくれた女性。
コロナが落ち着いたら私を呼び出してユニットバスとトイレの交換をさせるそうだ。

最後は笑ってお別れをした。

落ち着いた頃の呼び出し。
姿勢を正してお待ちしております。


菊池真琴

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