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あなたを支配しているいろいろな見返り

前回までで、フィリップ・マグロー氏は「人間の行動はすべて“見返り”に支配されている」ということを説明しました。

今回はその続きです。


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「自分は違う。見返りに左右されることもあるが、いつもそうだというのではない。私はこの『人生の法則』があてはまらない例外だ」

 そう思っているのなら、あなたは間違っている。見返りが何かわからないとすれば、あなたは見返りが何かわかるほど状況を徹底的に分析しておらず、目を凝らして見ていないのだ。

 自分や他の人が見返りと受け止めるものに気づいていないのかもしれない。難しいのは、自分では気づかずに見返りを得ている場合があることを考慮に入れた上で、すべてのケースを検討することだ。

 人生の「通貨」は、さまざまな見返りの一つである可能性がある。あなたは、自分の見返りがどんなかたちを取っているか、気づいているかもしれないし、気づいていないかもしれない。
 たとえば、自己懲罰や歪んだうぬぼれ、復讐心といった不安定な感情など、きわめて不健全な見返りを求めて行動している可能性もある。


 一目でわかり簡単に測れる見返りは、もちろん金銭的な見返りだ。
 家で子供たちと過ごしたり、昼まで寝たりしたいのに、毎日仕事にいくのは、これがいちばんの理由だ。
 お金は大事なものだと思っているので、私たちは、手に入れるためなら喜んである程度の犠牲を払い、ある種のことをする。

 けれども金銭とは関係ない、もっと強力な見返りもある。

 たとえば、心理的な見返りは、容認や是認、賞賛や愛、仲間、何らかの強い欲望、罰や充足感といったかたちをとる場合がある。
 こうした見返りには大きな力があり、あなたは、見返りをもたらす行動を繰り返す。

 安心感も大きな力を持つ一般的な心理的見返りだ。
 安定した生活を送るという健全なかたちをとったり、恐怖や危険を避けたい一心で傍観者の立場をとる、といったあまり健全ではないかたちをとったりする。
 精神的な見返りは、心の平和や神との結びつき、正義感や道徳心といったかたちをとる。


 身体的な見返りは、良好な栄養状態や運動、正しい体重管理、健全なセックスライフといったものに由来する、自分は健康だという感覚だ。
 こうした感覚が強い場合も多い。

 それほど健全ではない身体的な見返りとしては、暴力によって誰かを威嚇したり支配したりして得るものや、体重管理や自虐行為といった、プラスマイナスどちらかのかたちで自分の身体に夢中になることから得るものもある。
 こうした見返りも、行動の強い原動力になる可能性がある。


 何かを達成する場合の見返りにも、独自の通貨がある。
 達成感。努力を傾けた分野の中での他人の評価。自分は良くやったという自覚。それほどプラス思考ではないが、仕事での業績を通じてのみ、自分の価値を感じるという点で、同じような見返りがある。「ワーカホリック」という見返りだ。

 社交面での見返りは一体感で、もちろん、自分が一員であるだけでなく、貢献者あるいは指導者であると感じている場合には、見返りも大きい。
 こうした自尊心を尺度とした見返りが不健全な方向に行くところまで行くと、他人に認められることで自分の価値を測る、自分に自信のない人間となり、社会に認められたいとたえず渇望することになる。



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