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【「天使」と言われるダウン症の子ども達】#09

”子どもと遊ぶ”が仕事の
小児の作業療法士ミキティです。
遊びに隠された7種類の感覚の秘密を
簡単にまとめています。
今回のテーマ:ダウン症

# 09 疾患① ダウン症

1.  どんな病気?

エコー写真

第21常染色体が通常2本→3本ある状態。
発生頻度は800〜1,000人に1人。
約半分が先天性心疾患を持って生まれる。
心疾患の中でも最も多いのは”心室中隔欠損”で
心臓にある4つのお部屋の仕切りに穴が開いて
生まれてきます。小さいものだと自然に治癒し、
大きいものだと手術によって治癒が可能です。

心臓に穴が?!と思うとびっくりしますが、
私の担当したダウン症のお子さんも自然治癒や
手術後に元気一杯に走り回っている
コドモ達がほとんどでした。

2.身体的特徴

ダウン症の男の子の横顔

◉発育不全で小さい顎
◉狭い口の中
◉亀裂のある突出した舌
◉平らな鼻
◉小さく変形した耳

これらの特徴を踏まえて
私は以前、幼稚園の給食時間に
摂食介助で入っていました。
その子の食形態にもよりますが、
担当のダウン症のお子さんは
吐き戻しや偏食も多く、
ミキサー食をママに用意して頂きました。
すぐに丸呑みしようとするのを
スプーン半分の量を噛む、しっかり
飲み込む練習をよくしていました。

ダウン症の男の子

◉低身長
◉頸部(首)が短く、乾燥した皮膚
◉短く広い頭
◉切れ上がった目
◉猿線(頭脳線と感情線が一本で掌を横断)

実際にダウン症のお子さんと
接した事のある方は
ご存知だと思いますが、
子ども達はと〜っても好奇心旺盛!
いろんな事に挑戦したり、
好きな人に急接近して、
人懐っこい時もあれば、
上手く物事が進まなくて
急に腕を組んで怒りを表現する時も。
どんな時も、それぞれの
表情や仕草がとても可愛らしいのです。



3.知的・運動発達面は?

ダウン症の男の子と車遊び

◉知的面
・軽度から中等度の知的な遅れはあるものの、
表現力豊かな言語機能の獲得につれ、
知的機能が運動機能よりも優っていくことが
知られています。

◉運動発達面
・首がすわる、寝返り、おすわりなど
重心の低い姿勢発達は
それほど差は見られませんが、
6ヶ月以降の四つ這いや歩くといった
重心が高くなる姿勢では、
少し遅れる傾向があります。
ですが、近年、
海外での研究でトレッドミル上で介助歩行を
させる事で歩行獲得時期が早くなったという
報告があったそうです。

ただし、歩行を獲得した後、外反扁平足などを
残して成長する事もある為、
成長・発達を長期的に見据えた運動発達支援
の視点が大切
です。

4.感覚系ではどんな関わりや注意をするの?

把握反射

前庭感覚
・筋緊張が低く、ぐにゃっとしやすい。
直進方向の動きは特に姿勢調整を
図るため、スーパーマンのように
なるように抱っこして走ったり、
台車に乗せて引っ張ったりします。

固有感覚
・筋の力が弱く、上顎骨の未発達。
・関節の位置や動きを感じる事が難しい。

赤ちゃん体操プログラムでそれぞれの
関節を動かしたり、姿勢の変化を与えます。
遊具を押す、引く、重たいものを持つ遊び。
*頭と首を繋ぐ環軸関節の不安定症が
合併症の一つとしてあり、ここの脱臼
は生命に直結するので注意が必要。

触覚
・反応が鈍い、素材の識別・形状の認知が難しい。
子どもにとって心地よい素材を見つけ、
自分から触りに行く環境を導きます。
子どもの掌にオモチャを置き、オモチャを
ちょんと押して圧迫し握る事を促します。
豆が一杯の容器の中に埋められた
オモチャを探す遊びを提供します。

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◉視覚
・目や視覚に異常が発生する傾向が高く、
視知覚の成熟が遅れる傾向にある。
お座りができ始めた乳児の時に、
「姿勢の揺れ、ふらつきを調整する」事に
集中し、手遊びする余裕がない。
「母親を見て過ごす事が多く、玩具を使って
遊ぶ事が少ない」傾向。
 これらのことからオモチャを使って遊び
始めるのは少し遅いかもしれません。
目を動かす遊び(ビジョントレーニング)を
他の感覚と同時に行っていきます。

◉聴覚
・77〜82%は難聴を伴っている
頭蓋骨の異なる形状や狭い中耳、鼻咽腔が狭く、
バイキンが入りやすい為、中耳炎になりやすい
耳垂れが異臭を放っていることがあるので、
耳をよく触っている時は注意が必要。

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◉味覚(摂食問題)
・食物に対する拒否、偏り。
・口が開き、舌が出ている。
頬・舌のタッピング、下唇・上唇に
重みをかけるなどで舌の突出が軽減できます。

5.まとめ


よく、地下鉄で制服を着たダウン症の
かわいい女子中学生をみかけます。
養育者が愛情をもって接すること、
適切な療育を早期で介入すること、
周囲の温かい応援で
立派に自立に向かうことが出来ます。
これを読んでくれた人が
その応援団の1人になってくれることを
心から願っています。

ダウン症のコドモとママ

参考文献:
神経発達学的治療と感覚統合理論
子どもの感覚運動機能の発達と支援




この記事が参加している募集

作業療法士(OT)は 実は子ども達のサポートも しているリハビリ職。 これらの記事が読んで頂いた方の 子育て・療育のヒントになればと思っています。 子ども達は今この瞬間が 生きてきた人生で一番成長している時。 記事を通してみなさんと 関わる事が出来たら嬉しいです✨