冬の到来とボサノバ
今年の冬の始まりは異常だった。例年6月ともなれば朝晩の気温は10℃を切るのが普通だとばかり思っていたが、一向に寒くならない。確かにサンパウロでは真冬でも雪が降ることはない。どんなに寒い日でも、最低気温が5℃といったところだろうか。でも、だからと言って日中の最高気温が27、8℃と言うのは明らかに異常だった。(雨が少なく乾燥しているところは夏の気候とは違っていたけれども。。)朝晩は流石に少しは涼しかったが、昼間は半袖で過ごすことが多かった。
先週になって突然雨降りの日が三日ほど続いた。何しろ空気がカラカラに乾燥していたから恵みの雨。しかも結構の雨量。でも、日が差すことが無くなりはしたが、冷え込むと言う程のことでも無かった。ところが...雨が上がった翌日、冬は突然やって来た!
雨が上がったら眩しい程の晴天が戻って来た。やれやれと思った。でも今までの気候とは明らかに違う⁉︎なんと、朝晩の気温は7、8℃で寒い!風が冷たい!天気に騙されて薄着で外出したら悲鳴をあげることになる。はーっと吐く息が白い。これこそが本当の冬というもの。
いつもの公園に行ってみる。冬の到来とはいえ景色は少し前とさほど変わらない様に見える。相変わらず木々は青々としているし...。(多少枯葉が落ちてはいるが。)でも、椰子の木の隣にそびえ立つジャカランダの木には、あの薄紫色の花は咲いていない。秋口に金木犀の様な香りを漂わせた白い花も今は見かけない。季節は確実に移ろいでいるし、植物は私たちにその事を知らせてくれる。
注意深く観察すると、こんな季節にも拘らず、花を咲かせている植物が結構ある事に驚く。なんとも愛おしい、可憐な花たち。どの花も他の季節には無かった新顔(のはず)。
そして餌場にはいつもと変わらぬこんな光景が...色とりどりの小鳥たち。ここだけはなぜか年中トロピカル。
自然の中に生きる命は逞しい。ちょっとくらい寒くとも私のように背中を丸めて縮こまってなんかいない。冷たい雨風にも負けず、天に向かって蕾を膨らませ、花を咲かせる。トロピカルな鳥たちや、野良猫たちも毎日時間厳守で餌場に現れる。
どうして私はこんなにも寒さに弱いのか。考えてみたら私の生まれ月は8月(の末)。日本では夏の終わりとはいえまだまだ残暑の厳しい時期。そのせいか分からないが、冬よりも夏の方が断然好きだ。でもこちらで8月は冬!なんということだろう。生まれ月の季節が真逆になってしまった!25年もこちらに住んでいてそんな事にも気付かなかったなんて...。
話は変わるが、先週リオデジャネイロで「ボサノバの父」こと、ギタリストでありヴォーカリストのJoão Gilbertoが88歳の生涯を閉じた。そう、あの誰もが知っている「イパネマの娘」を世に送り出した人物だ。ブラジル国民の誇り。ボサノバといえば夏。こんな時こそ気分だけでも夏を感じたい。
☆おススメサイドミュージック☆
「イパネマの娘」
この曲が収録されたアルバム、GETZ/GILBERTOはアメリカのサックス奏者Stan Getzがその当時アメリカ在住だったJoão Gilbertoとその妻Astrud(英語ヴォーカル担当)、そしてあのAntônio Carlos Jobim
(ピアノ、作曲担当)を招待して1963年にNYで収録されたそう。
海岸へと続く道を
今まで見たことのないほど美しい娘が
ゆっくりと体を揺らしながら
通り過ぎて行く
彼女の肌はイパネマの海岸の太陽で焼けて黄金色
彼女のスウィングはポエム以上
今まで見た中で一番美しい彼女が
目の前を通り過ぎて行く
あぁ、どうして僕は孤独なのか?
あぁ、どうして全てはこんなにも悲しいの?
あぁ、この美しさの存在
あぁ、そしてこの美しさは
僕だけのものではない
そして一人で通り過ぎて行く
彼女は知っているだろうか
自分が通り過ぎると
世の中が一層美しく
素敵になると言う事を
愛の力のために... ※Kikko-yy解釈
João Gilbertoのポルトガル語パートを自分なりに訳してみた。妻のAstrudの英語パートにはこれとは違った解釈があるとのこと。読み比べてみるのも面白いかも。
ボサノバで気分だけは一気にリオの海岸へ。。25年前に一度だけ旅をしたあの海岸に又戻ってみたいと思う、ある冬の日。
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