レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを活用したゼミナール2022~2・3年生合同WS その2
前回の記事では導入とウォーミング・アップの話だけで終わってしまいました。
ここからはメイン・ワークの話になります。
自分が伸ばしたい特性を表現する
メイン・ワークの第一歩は自分についての表現です。今回のワークのテーマは「世界をより広く多角的に感じ、私たちの活動の方向性をみつけよう」でしたので、まずは「私たち」の「私」の部分を意識しておきます。
「私」は何をしたいのだろう?ということで悩む人は多いと思います。そこで、まずはもう少し考えやすいと感じられる「私」の良さや特性に注意を向けてもらいます。すごく大事な問いなので、このワークの前に「私」について考えるレゴ®︎シリアスプレイ®︎のワークを行なっています。ですので、このワークは前回のワークをもとにしつつ、「自分がこれから伸ばしたい特性とは?」と問いにあわせて「私」についてのモデルを作り直してもらう感じにしました。
ただ、これだけですと、前回のおさらいというだけで、少し学生たちにとっても緊張感に欠ける可能性があったので、「他の人のモデルを見て、その人が将来、社会でどんな活躍をしそうか」をコメントする、というワークを付け加えました。
これによって、他の人のモデルをしっかりと聞くという緊張感をもつとともに、お互いの特性の可能性を認め合うということでお互いに自己肯定感を高め合う効果が期待できます。実際に、このワークから一気に学生たちの表情が良くなりました。
現代社会の良いところを探る
さて気分もよくなったところで、自分から周りの世界へと目を向け直します。世界の向き合い方にはいろいろな切り口があると思いますが、考えやすいものとして「現代の良いところを伸ばしていく」と「現代の悪いところ(問題)を無くしていく」の2つがあると思います。
そこでまず「現代社会の良いところ」に目を向けて作品を作ってもらいます。
少し漠然としていますので、作るときのヒントとしていくつかの問いも追加で投げます。自分がああよかったなぁと強い幸せを感じる瞬間を生み出している世の中の仕組みは何か、もしくは過去の世代の人々や時代に比べて恵まれているところはどこか、または、他の国のことを少し想起してもらうことなどを、問いのかたちで投げかけていきます。全てに答える必要はなく、どれかを入り口として作りながら「現代社会の良さ」についてストーリーを語ってもらえれば十分だと思っています。
作ってもらってから、同じグループ内でお互いに作品についてストーリーを語ってもらうのですが、「後からお互いの作品の関係を考えていくから、よく話を聞いて、その人に成り代わっても100%説明できるぐらい理解してね。作品で説明してもらえてない部分は必ず質問しよう」と声かけをするようにしています。
現代社会の悪いところを探る
同じように現代社会の悪いところを作っていきます。ニュースなどは比率的に「悪いところ」を多く流しますし、商学部の授業でも、だいたい社会や企業、ビジネスの抱える問題を解消することがよく語られるので、こちらの方がおそらく、学生たちにとって作りやすいのではないかと考えながらいつも進めています。
ただ、今の社会の悪いところをたくさん知っているというのは、問題の抱える深刻度の大小も存在することになりますので、「今からなんとかしておかないとまずい」「どうしても解決していきたいと感じる」など、少し深刻度の大きいものを作ってもらえるような声かけも合わせてします。
ワークの設計者として「良いところ」と「悪いところ」のどちらを先に作らせるか、いつも悩みます。今回のところは、学生たちにとって「悪いところ」のほうが想起しやすいので先にしてしまうと「悪いところ」にひきづられて「良いところ」に注意の切り替えがしにくいかもしれないという心配と、思考エネルギーがより多く残っている前半に「良いところ」を置いた方が2つの作品の質のバランスがとりやすいという判断をしています。
こちらも作ってから、お互いに作品の説明を質問をしあいます。ここまでで、およそ開始から2時間30分ぐらいです。これで午前の分は終了となり、お昼休憩に入りました。当日は、良い天気だったのですが気温がぐんぐん上がってきていました。(その3につづく)
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