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『U理論[第2版]』をレゴシリアスプレイメソッドの文脈で読む(10)第7章 敷居

 第7章は、第6章までの内容をさらに振り返るような内容になっている。そして第1部(1〜7章)の最終章でもある。

 その中で新しいコンセプトが出てくる。それが「敷居(threshold)」だ。

 この語源も引き出しながら、シャーマーはこのコンセプトを語っていくが、その含意は次の2つの文に集約されているといえる。

 すぐにわかるのは、ある状態から別の状態へと敷居を越えるというこの考えは、あらゆるシステムに存在するということだ。習慣的な方法で見たり行動したりしても、何も変化が起きないことを悟った時には、意識を向けている方向を変え、認識の源、つまりその行為を実践している人自身に向け直さなければならない

『U理論[第2版]』第7章より

 引用文のなかでは、太字になっていないが、敷居があらわれるのは、従来のやり方がうまくいかなくなったとき、壁にぶつかったときである。
 しかし、行き詰まったようにみえるときにこそ、意識を向ける方向を変えると、新しい方向を示す割れ目が見えるという。
 どのようにそれを目指すのかについては、本章では語られていない。次章以降の第2部でその理論と実践が語られるとしている。

レゴシリアスプレイメソッドとの関連

 敷居はメタファー的な要素が強いコンセプトである。
 そして、単に特定の場所を抜けるということと同時に、「割れ目」という表現からも狭い場所であるというのがポイントとなる。他の章ではキリストの言葉である「金持ちが天国に入るのはラクダが針の穴を通るよりも難しい」の話も本書では何度か出てくる。
 これは「金持ちが富に執着をしてそれを捨てることができないために天国に行くことができない」ということであり、敷居を通る時にも何か(多くのもの)を捨てなければならないということである。

 レゴシリアスプレイメソッドでも、自分が大事にしているもの、それは資産であるかもしれないし、過去の経験かもしれないし、価値観かもしれないが、それをモデルで作って表現した上で、それを手放す(崩したりモデルから引き剥がす)というワークが一つ考えられる。それは「敷居」を潜る感覚を疑似体験することに重ねられるであろう。
 問題は、敷居をくぐるために何を手放すのかということであるが、それはこれまでのU理論の議論でいうと、習慣的なやり方で手を尽くした上で自然と周りの状況が教えてくれるということである。したがって、自分が習慣的なやり方で手を尽くしても改善しない問題をモデルで作ってみて、その中に敷居をくぐるときに手放すものを見つけ出すということになるだろう。

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