今回取り上げるのは「著名人インタビュー(Celebrity Interview)」というリベレーティング・ストラクチャー(Liberating Structures: LS)である。
リベレーティング・ストラクチャーとは?という方はまず、こちらのNoteを読んでいただければと思います。
この方法で何ができるか?
誰かの経験をプレゼンテーションや一方的なトークではなく、 会場を巻き込んで学びを高め、その後の行動へとつなげていくところに狙いがあるということである。
5つの構造要素
手順を見る限り、ポイントは「1-2-4」を使って参加者同士が意見を交換させたうえで、良い質問を引き出すことにありそうだ。「1-2-4」はLSのひとつである「1-2-4-ALL」についての以下の記事を参照してほしい。
実施にあたっての追記事項
ここでは「5つの構造要素」以外の項目を紹介する。
その人が知っている知識以上に、その背景にある哲学や人格に光を当てることによって、インタビューされる人と聴衆を心で結びつけていくというところにも気をつけたい。
興味深いインタビューは、ライブ感があってその場で様々な質問が生まれているような印象を受けるが、それを支えているのは入念な事前準備にあるということを忘れてはならない。
第一番目のOprah Winfreyや、Stephen Colbertはアメリカの有名なトークショーの司会者である。人の話や魅力を引き出すトーク番組の司会者がどのような質問をどのようなタイミングで出しているのかを観察するのは、ファシリテーションに限らず大きな学びになりそうだ。
合わせていろいろな質問の形を意識して収集していくことも有効だろう。
ストーリー・テリングによく使われるフレームを当てはめるというのは、質問の力を高めるのに役に立つだろう。ここで例に挙げられている「英雄の旅」は、スターウォーズや指輪物語などにも活用されているという人々を惹きつける映画のシナリオ作りにも活かされている。
「ユーザー体験フィッシュボウル」、「DAD」もLSである。どちらも人々から話を引き出し共有する方法であるため、この「著名人インタビュー」との組み合わせは有効だろう。この2つのLSについては詳しくは以下の記事で扱っている。
最後の項目にある「オープン・スペース・テクノロジー」、「あなたからほしいもの」もLSであるが、またの機会に紹介したい。
人々の体験や考えを聞く、さまざまな機会で活用ができそうである。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとの関係
レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドは、100-100の会議(全員が等しく考えを出して参加する会議)を目指している。そのため、誰か特定の人に焦点を絞ることはない。
しかし、特定の人から集中して考え方を引き出して自分の糧にしたいということは多くの人が普通に抱いている気持ちであるだろう。そこで、焦点を当てたい人にモデルを作ってもらい、時間をかけていろいろと質問しながら考えを引き出すという方法をとることも考えられる。単にその人が知っていることにとどまらず、その背後にあるより大きな考えや底に沈んで考えを支える哲学や世界観を表現してもらうために、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドは最適だからである。
「ユーザー体験フィッシュボウル」の記事のときにも述べたが、体験の濃度に応じてグループを分けるという考え方も条件次第では採用することを考えておくことが重要だろう。