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『U理論[第2版]』をレゴシリアスプレイメソッドの文脈で読む(5)第2章 Uへの旅 

 第2章ではU理論の基本的な骨格が語られる。

 U理論のプロセスは大きく2つに分かれる。

 (1)外部の認識から、自身の内面の源へと潜っていくプロセス
 (2)新たな内面の源から新たな外部の認識を作り上げていくプロセス

自身の内面へと潜るプロセス

(1)のプロセスでは3つの動作が必要となる。
  (A)保留(俯瞰的な視点で見る)
  (B)視座の転換(意識を外側から内側へ)
  (C)手放す(新たな源を受け入れられるようにする)

 この3つの動作は直線的ではなく、観察対象の反応などに合わせて絶え間なく動いていくものである。

 また3つの動作がうまくいくための内面の状態である「開かれた思考」「開かれた心」「開かれた意志」と、うまく行かない流れを作る「敵」が存在する。その対応関係は以下のようになっている。

 (A)保留:「開かれた思考」↔︎「評価・判断の声」
 (B)視座の転換:「開かれた心」↔︎「皮肉・諦めの声」
 (C)手放す:「開かれた意志」↔︎「恐れの声」

「開かれた思考」「開かれた心」「開かれた意志」については以下のノートで触れている。

 この3つの声と向かい合い、乗り越えて「小さな自己(self)」から「大きな自己(Self)」を迎え入れることができるようにすることがリーダーシップの本質であるとされている。

外部の認識を作り上げるプロセス

(2)では以下の3つの動作が必要となる。
 (D)迎え入れる(新たな源を受け入れる)
 (E)具現化する(内面を外部での行動に転換する)
 (F)実体化させる(考えを行動や制度、慣習にする)

 この動作においては、より大きな視点から自分とシステムとの関係を見続け、気づきの連続を体験しながら、具体的な行動が根付くように進んでいく。

 これが大きくU理論の骨格となる。

レゴシリアスプレイメソッドとの関係

 今回、新たにでてきたのが、「保留」「視座の転換」「手放す」の3つの動作の敵となる、「評価・判断の声」「皮肉・諦めの声」「恐れの声」である。

 こうした声は、シリアスなワークショップになればなるほど参加者の心の中で響きやすくなるだろう。

 レゴシリアスプレイメソッドにおいては、ここはプログラム上の工夫と、ファシリテーションの工夫の両方に関わってきそうだ。

 プログラム上の工夫としては、問いの中でこれらの「声」の経験を探らせてモデルで可視化して共有しておくという方法が考えられる。あらかじめ、そのことを意識させることでこれらの「声」に対する耐性をつくるということである。もちろん、そのために時間を割くことになるので、ワークショップのための時間をどの程度確保できるか次第であるが。
 
 ファシリテーション上の工夫としては、このような「声」を紹介し、何らかのモデルを作ったり、共有するときに、その「声」に惑わされないように注意喚起するという方法である。

 いずれにせよ、そのような「声」が存在することを意識させることで、注意をそこに向けて、影響をおさえることがポイントとなるだろう。

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