THE GAZETTEを読む(6) 2013年 7月号 破綻の瀬戸際から立ち直る
本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
この記事の引用元原文はこちらのPDFから読むことができる。
この号では、レゴ社の歴史についてレビューする記事が中心となっている。
ここで出てくる『Brick by Brick』は『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか』という題名で日本語訳にもなっている。本書で「7つの真理」としてあげられている事項は、それぞれは取り立てて目新しいものではない(上記にある「従来のイノベーションへのアプローチ」と変わらない)。大変なのは、それをそれまでそれを重要視してこなかった組織に馴染ませ、機能するように仕組み化したり、組織の文化とすることである。したがって、どのようにして7つものポイントをレゴ社が組織に組み込んでいったかという点で読むのがよいだろう。
なお、著者のDavid Robertsonについては、今号の横のコラムに、本の写真とともに次のように紹介されている。
ウォートン・スクールは、アメリカのペンシルヴァニア大学の名門ビジネス・スクールである。Professor of Practiceは直訳すれば「実践教員」であるが、意味合いとしては「実務に役立つことを主眼に教授する役割」ということだろう。「実務家教員」という訳語もあるようだ。文科省も日本の大学に「実務家教員」を置くことを推奨しているが、同じような狙いといえよう。
レゴの基本に立ち返る
イノベーションの手法よりも、その会社のプロダクトもしくはサービスのコア・バリューに立ち戻り、それを見失わないことが重要という指摘は、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドのワークショップを展開するとき、ワークショップを設計するときも参考になるだろう。
また、「ブロックを積み上げるように」というメタファーにも注目したい。一つ一つが相互に「カチッ」とハマる気持ちよさがブロックの特徴で、そのつながりが創造的な結果につながる。会社経営も同じように、一つ一つの取り組みがしっかりと噛み合っていることを確認しながら会社全体を作り上げていく丁寧さが重要である。これはレゴ®︎シリアスプレイ®︎のワークショップ設計と実践でも全く同じだといえよう。「ブロックを積み上げるように」は、短いけれど身の引き締まる表現である。
このセクションには、次の画像とともに「コミック版でLEGOの復活を読もう!」とある。リンクが切れていてその先が読めないのが残念だ。
イノベーションのプロセスを管理する
レゴという事業の特性として、レゴのキットのデザイナーが力をもちやすいという特徴がある。実際に2003年頃の経営危機までは、デザイナーは自分達が良いと思うものだけを企画し提案しており、顧客の視点や、ビジネスという観点を欠いていたと言われる。その部分をまさに「ブロックを積み上げるように」整えたことによってレゴ社の商品は劇的に生き返ったということである。
そこではデザイナーの活動をビジネスの要素で制限することではなく、組織横断的に別の部署のメンバーと合同でのミーティングを定期的に行うことにより、デザイナーの仕事がより優れたものになるような、彼らを導く情報が入る関係性を作ったということである。
この記事の横のコラムには以下のような画像とハーバード・ビジネスレビューの論文へのリンクがつけられている。そのリンクはこの記事執筆時点では切れているのが残念だ。
この改革の中で作り出されたレゴ社の持続的イノベーションと成長の物語は今でも続いている。その様子を知るために以下の本を読むことを強くお勧めしたい。
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