今回取り上げるのは「ソーシャルネットワーク・ウェビング(Social Network Webbing)」というリベレーティング・ストラクチャー(Liberating Structures: LS)である。
リベレーティング・ストラクチャーとは?という方はまず、こちらのNoteを読んでいただければと思います。
この方法で何ができるか?
「ウェビング・マップ」という言葉がある。マインド・マップに代表されるように、情報をつなげてつくった関連図である。この「ソーシャルネットワーク・ウェビング」では社会的なつながりに焦点を当てたウェビングマップ作りということになる。
5つの構造要素
ステップの最初となる、目的達成のためのグループの「カテゴリー」を作るというところが少しわかりにくいが、例えば、何かの商品開発プロジェクトなら、「業界の事情通」「アドバイザー」「調査が得意な人」「技術開発者」などの区分が挙げられるだろう。
また「1-2-4-All」はLSの一つであり、その行い方については以下の記事にまとめてある。
実施にあたっての追記事項
ここでは「5つの構造要素」以外の項目を紹介する。
活動において「インフォーマル」という部分つまり、何かの活動に正式に責任を負う人々以外のことに目を向けるという意識をつくるのに良い方法である。
また「ブラックホール」という表現も興味深い。十分な説明がされていないが、文脈的には、アイデアや貢献が自然と集まっていくポイントを見極めるということだろうか。
最後のNetworkWeaverは、この「ソーシャルネットワーク・ウェビング」も含めて幅広くネットワーク作りのセミナーやワークショップを提供している団体のようである。
ここで作ったマップは、その後の状況変化によって変わっていく(アップデートが必要になる)ことが想定されるため、何らかの形で保存して更新できるような仕掛けが欲しいところではある。Miroのようなサービスとの相性は良さそうだ。
ここでも指摘されているようにLSの一つである「15%での解決策」は、アクションの「何を」と「誰に(手伝ってもらって)」を結びつけるのに良さそうである。「15%での解決策」は以下の記事で扱っている。
LSの一つでもある「デザイン・ストーリーボード」は、一連の問題解決活動の設計を行うものであるため、その活動に関する参加者の選定のほか、解決活動の1セッションへと組み込んでいくことにも良さそうである。このLSについては以下の記事で扱っている。
事例から見て、多様な人々を巻き込んで影響の幅を拡大しながら解決しなければならない問題との相性が良さそうである。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとの関係
自分たちがもっている社会的なネットワークは、常に活性化していて活用されているわけではない。単に「知り合い」程度にとどまっている関係が、現状の改善や解決のためのヒントになるということは、ネットワーク分析などの議論で古くから指摘されている。
つまり、改めて自分たちのもっている社会的なつながりを見直して、可視化するということが、問題解決に有効である。
そこで、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使って手を動かして、どんな人たちが自分たちの状況改善のキーになるのかについて、存在をモデルで表現する(メソッドの中ではエージェントと呼ばれる)ことは有効だろう。エージェントを配置していく中で、空白を見て改めて知り合いを思い出したり、これから関係を築くべき相手に気づくという効果もありそうだ。
また、関係性の表現についても、結びつきを表現するためのパーツを使うことでこの「ソーシャル・ネットワーク・ウェビング」に相当するワークを行うことができそうである。
さらに、今回のLSのステップの中で、ネットワークがある程度明らかになってきた後半に「誰が進歩を阻むことができるか?」「誰が進歩を後押しできるのか?」という問いは、視覚化された自分たちとエージェントからなるネットワークのモデルに対しても有効であるだろう。まさに邪魔が入るシナリオと助けが来るシナリオで「プレイ」することで活動方針に対して大きな気づきが生まれるに違いない。