誤解を生む 翻訳アプリ表現「担当は私です」
前回の投稿 誤解を生む 曖昧表現 「考えてみます」に続いて、今回は「担当は私です」という表現について考えてみたいと思います。
英語でやり取りをしたりするビジネスでは、「担当者をお願いします」や「担当は私です」といった表現が必要となる場面に出くわすことがありますが、どのように表現するのが良いでしょうか?
「新しく配属されたあなた(同僚)を担当することになった。」「このプロジェクトで、あなた(クライアント)からの質問に受け答えするのは私です。」等の状況を想像してみてください。
早速、翻訳アプリを利用して、「あなたの担当は私です」を英語に翻訳すると、"I am in charge of you." という表現が出力されます。直訳としては全く問題がなさげですし、意味は通じますが、実は聞き手は内心「??…」という気持ちを抱いてしまう可能性が高いと思います。
聞き手のリアクションとしては、'in charge of my WHAT" という感じで、「自分の全てを管理?」とまではいなくても、上から目線で「あなたの担当」ですという感じに聞こえます。親が子供に対して用いるのなら何ら問題がないかもしれませんが、ビジネス等では、 "in charge of YOU" と人を目的語にするのでなく、具体的に「あなたの何を担当」しているかを明確にします。
具体的には、"I am in charge of your scheduling." (スケジュール担当)や "I am in charge of helping you adjust to your new work environment."(職場環境に適応する手助け)、"I am in charge of answering your questions."(質問に回答する担当) 等のように表現します。"in charge of" 以下は、人ではなく「具体的な担当内容(名詞)」や「動名詞」を 続けます。
また、"I am the one in charge." とアレンジを加え、「あなた」や「あなたの何」を省略してしまっても、会話の流れから「あなたの担当です」が伝わります。ただし、"I am the one in charge of …" と "of" を続ける必要があれば、of 以下にはやはり具体的な担当内容を明示したほうがいいです。
同じような表現で、"I am involved in …" (…に従事・関与している)という表現がありますが、in 以下には、 "in charge of… " と同様に、「人ではなく、内容を示す名詞や動名詞」を続けます。両者の違いは charge のほうが「責任」のニュアンスが強いです。" involved in …" より責任の所在をもう少しはっきりさせたければ、"I am responsible for …" という表現も使えます。
話はビジネスとは少しずれますが、恋愛関係や婚姻関係で用いられる "wearing the pants" という興味深い表現があります。これは、その関係性においてどちらがボス(上位)であるかを示す表現ですから、wearing the pants の人が実権を握っていることになります。'My wife is wearing the pants." なら、「奥様」ではなく「前様(前面に出る人)」という意味になるでしょうか・・・
Thank you for reading this through to the end. Please have a good weekend!
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