わたし作のキャッチコピーが17年間めちゃくちゃ愛されていた話
「松浦喜々 コピーライター」とネットで検索しても、このnoteページ以外で私がヒットすることはありません。これはペンネームで、普段の仕事は本名(旧姓のほう)で活動しているからです。
…となると、「ホンマにコピーライターなんか」「ナンボのもんじゃい」と疑問を持たれるので、なにか作品をお見せしたいと思います(あまり「作品」という意識は持っていないんですけどね)。
ただ、公開するにあたって代理店やクライアントの許諾はいらんのか?と気になってしまい…。試しに「コピーライター」でnote内検索すると、現役の方々がけっこうフツーにご自分の作品を載せてらっしゃいました。あ、ええのん?
それでもビビリなので、恐るおそるひとつだけ紹介します。
【 暑 い 寒 い を 、 ち ょ う ど い い に 。 】
私はこのコピーを2007年か2008年に書きました。モノとしては「繊維」です。暑いときは涼しく、寒いときは暖かくなるよう、吸熱や放熱によって皮膚の表面近くに働きかけ、快適な衣服内温度を保ってくれる機能繊維です。
もともと米国の企業が商標登録しており、日本では1999年から販売されていたのですが、2007年にクライアント様(繊維商社)が全素材について独占権を取得し、プロモーションについてもテコ入れされました。そのタイミングで私がクリエイティブに携わりました。
今回の記事を書くにあたり、私が過去に生み出してきた中で、露出が多く、かつ長いあいだ使われているコピーは何かな?と考え、これを思い出したのです。
実はこのキャッチコピー、わたし作の別案もありまして。
【 33℃で 、 抱きしめる 。 】
「暑い寒いを〜」をA案、この「33℃で〜」をB案としましょう。A案だけでなく、B案も実際に世に出て使われていました。というか先ほどの、女性の背中にメビウスの帯(?)が巻き付いているようなビジュアルは、デザイナーのHくん(Fさんだったかな)が主にポスター用に制作してくれたもので、当初はB案のほうのコピーがこのビジュアルとセットになっていたのです。
こんな感じで。
もう10年ほど前になりますが、ふと「あの繊維のコピー、まだ使われてるかな?」と気になってネット検索したところ、このB案のコピーをブログ内で褒めてくださっている方がいらっしゃって。
ブログ誘導までするのが憚られるのでスクショにとどめておきますが(ビビリ再び)、今も「33℃で抱きしめる」+繊維ブランド名の検索でアメブロ記事がヒットします。見つけたときは、マジで札幌までお礼言いにいく〜〜〜と大阪から飛行機を予約しかけました。
ただB案のコピー、ポスターのビジュアルには合うし、ブランドの出発時点での世界観(もともとNASAのために開発された素材=カッコいい)にもマッチしてるんですけど、いかんせん汎用性が少なかった。
この繊維は、たとえばC社が使えば下着になり、D社が使えば寝具の敷きパッドになる、というようにさまざまな製品に展開されます。クライアント様(繊維商社)は当時「カッコよさよりも、今後は暮らしに身近な繊維としてアピールしたい」とお考えでした。そのためB案は次第に淘汰され、メビウスの帯のビジュアルにも、ユーザーメリットがわかりやすく伝わるA案を入れることになったようです。
で、A案「暑い寒いを〜」のコピー、2024年現在も使われているのかな〜?と検索してみると…
出 る わ 出 る わ の A 案 祭 り
いや、そうよね。A案、商品と組み合わせても響くもんね。
これ、もう、めっちゃ使われてるっていうか、
めっちゃ愛されてるやん
と、手前味噌ながら思いました。2回も大動脈解離したけど生きててよかった。
制作当時、息子は1歳か2歳で、私はアタマが臭くなるほど忙しかったけど(風呂はいれ)頑張ってよかった。
提案時のコピーは「暑い寒いを、ちょうどいいに 。」なのですが、商品と組み合わせるときは「素材」につなげて、「暑い寒いを、ちょうどいいにする素材」となっているパターンも多いようですね。
また、「『寒い』を『ちょうどいい』に!」のように、季節によって一部が削られたり、「!」が付いたりもしています。
それでいいんです!!
使いやすいように形を変えたり、色をつけたりしながら、17年間も使っていただけていることが心からうれしいです。
もちろん、この繊維の機能が非常に優れているからこそ、コピーも長きにわたって存続できるわけで(実際に私は、この繊維の寝具を使い倒しました。快適!!)。こういったロングセラーになりうる商品のコピーを初期にやらせていただけるというのは、本当に幸運かつ光栄なことなのです。
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