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散らばった私は、SABONにいた。
パワーが足りない時って誰でもあると思う。例えば車だったら、ガソリンが足りない、そんな感じ。
私は、こんな時、電車に乗れなくなる。
ある時から、私は電車に乗るのが極端に苦手になった。
息が詰まる。怖くて怖くて仕方がない。
今でこそ各駅停車には乗れるようになったけれど、疲れていたのは明らかだった日に、ムリして外に出なくても良かった。
自分に妙なプレッシャーをかけてしまった。
結局私は、行きたかった駅まで辿りつけず、途中下車をして改札を出た。
目的地までたどり着け付けなかった私を
濡れないように、こぼさないように。
自分を責めても、良い事なんて一つもない。
でも結局、私は私をバラバラにしてしまった。
私は、散らばった。
「気分転換」
少しでも、自分を元通りにする。
カフェに入ろうかと迷ったけれど、歩くことにした。散らばった私は、私が探すしかない。
とあるお店を通り過ぎて、また戻る。
散らばった私の一部がそこにいる気がして、私はそのお店に入った。
何度も外から見ているお店なのに、SABONに入店したのはこれが初めてで、広い店内は、ふんわり柔らかい『香り』が流れていた。
嫌な感じがしない。
柔軟剤と白粉が混ざったような強い匂いは苦手だ。でも、その場所は、ふっと息を吐いて、心地良くなって、息が吸えた。ボディクリームにバスソルト、その他にも『香り』の良い商品が
ディスプレイされていて、可愛い装飾と一緒に、私だけじゃなく、私みたいな人を待っているみたいだった。
「あぁやっぱりムリしてた。距離だって時間だってとっても窮屈だった」
私は、私の一部を拾いあげた。
人との距離と時間の窮屈さを感じる時があって
それが続くと、私はパワー不足になる。
私は、自分を守ることを疎かにしがちだ。
手に取った『香り』が、一気に私の距離と時間を守ってくれる気がした。人と人を区切らないと、私は生きていけない。
『香り』を纏っている人は、もしかしたら、自分を守っているのかもしれない。
多分、今日も『香り』は私みたいな人をどこかで待っている気がした。
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店員さんが丁寧に商品の使い方を説明してくれました。
本当に助かりました!ありがとうございました。