可視化できる第153回
マッチングアプリは儚い
人が夢を求めてすがるアプリだから儚い。
ひと月前、
衝動的に4900円かけて異性との出会い求めて、
拙い自己紹介と映てない自分の写真を掲げて、
ひたすら相手に「いいね」をしていく。
こっちが「いいね」した所で、
相手から「いいね」が帰ってこなければ、
この「いいね」は無意味、
射精と同じ、生命に続かない発射。
オナニーなのだ、
でもこのオナニーを続けないといけない限り、
自分が女性を求め続けている証拠が残せないから、ひたすら「いいね」オナニーをする。
そんでもって、数打ちゃ当たるのか、
40いや50いいねに1回、相手からいいね返しが来てマッチング成功する
無鉄砲に近い形で「いいね」連射していたら
こんなことがあるのか、と嬉しくなって舞い上がって勘違いを起こす。
マッチングアプリ内のメッセージで連絡を取る、
やっと有料会員の特典が使える、スタート地点に立った。
まあ、気分屋ですぐ返ってこない。
あっちもそんなにアプリに期待していないのか、複数人とやり取りをしているのか、
まあなんでもいいんだけど、ひと月しか金をかけていないんだからさっさと、LINEとかインスタでも外部メッセージアプリでやり取りがしたいのよ。
急かしても、ネットワークビジネスと疑われるし、焦っても、ヤリもく臭くなっちゃうし。
ヤリもくじゃないのかと言われると自信ないけど。兎にも角にも自然な形で外部アプリに誘導出来たら万々歳な訳。
何通か当たり障りないやり取りをして、
変な人じゃないよって相手にも自分にも信じ込ませて、LINEを交換した。
LINEを交換して、直接会話、声を聞くフェーズに移行する。
電話してみても良く掴めない様子、分からない。金のある遊び方をしている人、感覚が合わないけどマッチングしたしなあ、ヤリたいしなあって、なんとか会話続けられて、2週間後に会うことに。
全然LINEが返ってこない。
会う三日前、
「明後日よろしくお願いします」
「午前中に荷物届くので13時に集合時間変更しても大丈夫ですか」
良かった、来てくれる。
「大丈夫ですよ、よろしくお願いします!」
これが最後のLINEとなった。
会う日の前日、
「明日はよろしくお願いします」
返信なし
当日、
「今日はよろしくお願いします」
返信なし
返信なし=既読もつかない
いやあな予感がするけど、
集合場所へ、駅に集合だったから、
改札には出ず、出てしまうと金がかかってしまうから。
改札口でずっと待つ。
10分、20分、30分、40分、帰ろう。
最後まで既読がつかず、
全部一方通行のやり取り。
浮ついた心の隙間に冷たい空気が通っていく。
でも背伸びしていた自分に対して、
「もう頑張らなくてもいいよ」
って誰かが指示してくれたのかなって。
肩の荷がおりた。
帰りの電車の中、
僕にはマッチングアプリ向いていないなって
ふと思った。
マッチングアプリするぐらいなら、
銀の玉追いかけていた方が幸せかもって思った。それはそれで違う病だけど。
あー幸せになりてえ
BGMに高橋優 ピーナッツでも流してみると
幸せになれるかもね。