見出し画像

ひとでなし

私は初めから
人ではなかった
姉は私をいじめてくるし
私は赤ん坊が大嫌いだった

なんのために
居るのか解らなかったし
両親も解らないようだった

ひとでない私は
人を売るようになった
進んでやったと言うよりは
人が私にそうさせるのだ
最初こそ私は
友人なるを求めていたのだが
こうなっては友人など出来ない

人を売って財を成した私は
自宅の大きな庭に
コンゴから密輸入した
ボノボのファミリーを住まわせていた
ボノボの弱き者を助けるような性質に
実は憧れがあったのだ
人とは上手くいかないものの
ボノボのファミリーの一員として
加えてはもらえまいか
そんな企みを胸に秘め
ボノボらが環境に慣れるのを待った

リーダー格の雌ボノボの前で
あなた達の一員になりたいと
土下座をしてみた
困惑をして理解は及ばなかったようだ
何度も土下座をするうちに
ボノボ達が真似をして
土下座が流行ってしまった
私が庭へ出ると
ボノボ達が取り囲み
円陣を組んで土下座をする
これではボノボの神になったかのようだ
思っていたのと少し違うが
仲間として
認められた感じもなくはなかった

その後
家の中も解放して
寝食を共にして暮らしていた
求愛こそされなかったが
私を見るやすぐに
低頭する腰の低いボノボ達を
私は愛した

私の商売相手が
人を売っているくらいだからと
私のボノボ達を売ってくれと
打診してきた
そいつはここら一帯の
チンピラのボスみたいなもので
打診とは圧力や脅迫みたいなものだ
返事もせずに放置していたので
当然の事ながらきな臭くなってきた
愛する者達をを守るためか
はたまた復讐のためか
私にはそいつとそいつの郎党
そいつらの一族共を皆殺し
ここいらを焦土と化す未来が見える

私はひとでないので
簡単にやってのけるだろう

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集