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私の詩、晩夏の夜風

あなたに披露する私の詩。どんな詩でもイラつかせるらしく、すっかり自信を無くすけど、詩なんて不幸であればあるほどいいらしい。

生ぬるく不幸な私は、生ぬるい詩を綴る。それでも史上一番愉快な気になって、詩を舞ってみる。下手くそな舞でも救いがあり、私はやめられない。

誰もいない海、誰もいない道、誰もいない部屋。それらは私を思い切り甘やかす。そこへ真綿売りがやって来て、あなたが定期購入を申し込んだと言う。月にどのくらいなのと聞くと、毎月五キロだと言い、モコモコの大きな包みを置いて行ってしまった。

空間は、段々とすっかりふんわりモコモコと嵩張って、引越しせねばと思う。

真綿を活用しないのも気が引けて、ハロウィンに使えるかと平たく広げ、ふわふわシーツお化けになってみた。世の中マスクだらけだし、なんだか大して違わない。

帰途に着く途中の橋に立て看板が立てられている。
私語厳禁
ふむふむと読み大きく息を飲み込んで、その日の夜風は生ぬるかった。

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