ウェルビーイングと自律・個性を大切にするフィンランドの教育
今回は教育の視点でフィンランドをレポーティングをしたいと思います。
生徒、担当の先生、校長先生の関係がフラットでウェルビーイングが共通の価値観
オウルにあるMetsokangas小中学校を訪問して感じたのは、生徒と担任の先生の関係性、担任の先生と校長先生の関係性がとてもフラットだということです。担任の先生たちは自分たちの存在を「子供たちのすぐ横にいる相談相手」という表現をしていました。
そして学校の共通の価値観として、心理的安全性やウェルビーイングというキーワードがとてもたくさん出てきました。学校の授業の中でもウェルビーイングを考える授業があり、子供たち1人1人が自分のウェルビーイングは何か考えます。教室の中には「心がざわざわしたら行くスペース(スペースにはオーストラリアという名前が付けられてました)」があり、子供たちは自分の安全性に不安を感じた時、そのスペースに行き「自分はなぜ不安になったのか?」内観し、落ち着いたらみんなのいるスペースに戻るようです。
思いっきり遊ぶことを通して身体や体験から学ぶ
小学校3年生の国語で日記を書く授業では、子供たちは最初にカラーボールをくじびきで選びアクティビティを決め、日記を書き終わったらそのアクティビティをします。書き終わりゴルフをする子、輪投げをする子、テントで過ごす子など、教室で子供たちは思い思いに楽しみながら学んでいました。
多くの学校では、机に向かうことよりも、身体性や体験を通して学ぶことが大切にされているようです。
年齢ではなく子供たちの個性や習熟度をみてグループやクラスを作る
今回保育園から大学までの教育をみて共通する価値観として感じたのは、「得意や好きを見つけ伸ばすこと」「1人1人の個性を大切にすること」「信頼と自律」です。
保育園では先生1人で4-5人の子供たちを見ており、そのグループは言葉の習熟度や個性を見てグルーピングされています。学校でも、得意な教科は次の学年の課題を与えて伸ばしたり、年齢ではなく学習の習熟度で卒業や進級が判断されるので、1人1人卒業する年齢もバラバラでその子自身が次の道を見つけられ、納得して進路を選択できているか、が大切にされています。
その考え方は大学まで同じなので、大学も4年で卒業するのではなく例えば自分のタイミングで企業にインターンに行き進路が見つかり2年で卒業する子や4年以上かけて進路を考える子もいるようです。教育費が無料という前提もありますが、学科や学校を変えるのも自由なので、自分が納得するまで自分の得意や好きを見極める余白は教育からも感じました。
外から見ると良いところばかり書いてしまうのですが、個性を大切にし伸ばす=子供の時に競争にふれないという側面はあるので、繊細な気質になってしまい、働き始めてから求められる一定の社会の厳しさについていけない子も中にはいるようです。
また、15歳(義務教育終了時)の子供たちを対象にした学習到達度ランキング(PISA)では、読解力以外の数学リテラシー、科学リテラシーではフィンランドより日本の方が順位は上で、フィンランドでもPISAの順位が年々下がっていることに対しては、課題意識があるようでした。
実践的・自律的なキャリア教育とサービスデザインマインド
デザインのレポートとも共通しますが、ウェルビーイングが大切にされる一方で、フィンランド人の価値観のベースには合理性もあります。初等教育から大学まで座学よりも実践的な教育を採用しており、造園・建築・美容・ケータリングなど、約70の資格が取れ何歳でも学べる職業訓練校もヘルシンキにはあります。
個人的に印象的だったのは、職業訓練校でもベースのカリキュラムにサービスデザインがあり、サービスデザインのようにユーザーの体験を向上させることがデザイナーだけの領域ではなく、様々な職業のベースにあると感じました。
今回はフィンランドを教育の視点からレポーティングしました!
最後までご覧頂きありがとうございます。
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