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「ちょっと」の累乗

若い先生をサポートする仕事に就く私には、2学期も、初任者研修の一環として勤務校へ訪問に行く機会があります。
訪問先の学校で、初任の先生だけでなく、校長先生や教頭先生、校内で初任者の指導にあたる先生方ともお出会いします。そして、面談だけでなく、初任の先生の授業も見せていただきます。

先日も、3人の初任の先生の授業を参観させていただく機会がありました。
3人は、ここまで講師の経験があったりなかったりで、その経験値はそれぞれ異なりますが、今できる精一杯の授業の公開に臨まれ、積極的・主体的な向き合い方に共通するものがありました。とてもうれしい気持ちに、そして、とても頼もしい気持ちになりました。

さて、
この3人の先生方の授業に共通していたチャレンジ点があります。
それは、授業における子らへの「見せ方」の工夫です。
いかに子らに見せるか、視覚的なわかりやすさをどう高めるかへの工夫です。

・テレビモニター上で、タブレットPCを使って書き込みをする作業を投影して見せる
・事前の板書計画によって黒板の無駄のない利用を図り、子らの学習を的確に記録して見せる
・上下スライドする黒板を活かした意識的なマスキングによってタイミングよく提示する
・暮らしの中にある具体物を、自分で撮影して教材化し、画像として見せる
・1枚のスライドにあれやこれやと詰め込まない配慮をして見せる
(文字を入れず、画像だけ)
・「動点」を伴う数学の問題に対して、実際に「動点」の動きを再現(シュミレーターによる動画)して見せる

子らへの「見せ方」の工夫は、言い換えると、子らの顔をあげさせる工夫です。そして、それは、学習への関心や意欲を高める工夫でもあります。また、視覚的なわかりやすさは、子らの確かな思考を促す工夫にもなります。利用がすすむタブレットPCも、これを目的として活用していきます。同僚の先輩先生方にも、ぜひ見てもらいたかったチャレンジでした。

参観の中で、教室にある掲示物が目にとまりました。
数学科の授業で使用する少人数教室にかかげられているものです。
「数学の教室」らしい確かなメッセージが、そこにはあります。
紹介しましょう。

▲わずか0.01の努力でも積み重ねると…

そして、その下には、

▲わずか0.01をサボりつづけると…

正確には、1.01の365乗は、37.7834…
0.99の365乗は、0.02551…  です。

これも、子らへの「見せ方」の工夫のひとつですね。
数学の学習への臨み方を、数学的に端的に示していて、とてもいいです。

子らのちょっとした日々の努力。
そして、若い先生方のちょっとした努力。
成果は、日々のこの「ちょっと」の累乗にかかっているのです。

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