映像が持つ力
私が校長として勤めていた中学校には、
映像が持つ力をフルに活用する社会科の先生がいました。
私たちの日常生活の中にあふれる「映像」素材。
テレビやYouTube、SNSなどには、
様々な映像コンテンツがあふれています。
その素材に
常にアンテナを立て、
良質なものをチョイスし、
良質の「問い」とともに子らの前に示す。
教科書だけではなく、
今、この時の旬の映像素材の教材化を試みるその姿勢に
プロの意識を感じていました。
「映像」素材の授業での扱い方のポイントは、
次のとおり。
① 必要な部分を切り取り、
視聴時間は短く設定する。
② 映像は、2度見せる。
1度目は、
何も指示をせずに視聴させ、
気づいたことを共有させる。
2度目は、
「問い」を示して視聴させ、
意識することでわかったことを
確かめさせたり吟味させたりする。
必要であれば、動画も「静止」
して見せる。
③ 取り扱った映像を
鵜吞みにしないよう、
「この映像だけでは、
伝えきれていないと思われる点は、
どんな点ですか。」
「この映像だけでは
判断ができないことは何ですか。」
などという問いを用意しておく。
社会科の授業に限らず、
各教科等の授業においても「映像」の力を活用することは
授業を充実させる視点のひとつとして
とても大切です。
「映像」が持つ力は、
次のような言葉で
古くから指摘されています。
しかも、
教室では、
意識した「一見」にすることで、
ものを見る目を育てます。
ものを見る目は、
ものの考え方そのものであり、
生き方をきたえることになります。
また、
この先生は、
社会科の授業だけでなく、
学校での生活指導にも映像が持つ力を活かしています。
学校生活の中で何気なく見過ごしてしまうようなもの、しかもそれが実は尊い行いであるものに目を向け、それをこまめに画像や動画として記録し、取りまとめたり編集したりしてすべての子らに紹介し、「気づき」と「評価」を与える。
「きみたちのこんなすばらしいところを、
先生たちは見ているのですよ。」と。
確かな生徒理解とするどい観察眼とがなければできない実践です。
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