それって、ホント?
批評をすること。
中学校の国語科の学習指導要領には、授業で行う言語活動の例として、文章を読んで批評する活動や、関心のある事柄について批評文を書く活動が示されています。
批評の際に必要な思考が、いわゆる「批判的思考(クリティカルシンキング)」です。対象を鵜吞みにせず、多様な視点から分析し、公平かつ合理的な判断をしていくという思考です。子らの立場から言えば、教科書に示されていることや先生の言うことなどについて、「それって、ホント?」「それって、正しいの?」と立ち止まって吟味し、判断していくことです。
子らには、なかなかできない思考ですね。なぜなら、教科書を疑うこと、先生の言うことを疑うことになるからです。「おりこうさん」はそんなことをしてはいけない、なんて思っている子らもいることでしょう。
しかし、学ぶことの主体は子ら自身であることから言えば、当然の思考、とても健全な思考であると言えます。
生涯学び続けていくためには、「大人」になっていくためには、この「批判的思考(クリティカルシンキング)」の育成が欠かせません。
この記事では、この「批判的思考(クリティカルシンキング)」をターゲットにした国語科の授業実践を紹介します。
教材は、『モアイは語る~地球の未来』(安田喜憲)です。対象とするのは、次に示す13段落~16段落です。
読者の皆さんも、「批判的思考(クリティカルシンキング)」にチャレンジしてみましょう。
では、読んでみましょう。
さて、授業です。
指導者が「では、この本文について批判的な見方をしてみなさい」と指示をしても、子らにはなかなかできません。きょとんとするばかりでしょう。
そこで、次に示す学習プリントのように、「少し無理がある」と考えるAさんの立場をあえて示し、Aさんになりきって思考させることがこの実践のミソです。批判的思考をサポートし、本文に述べられていることをきちんと精査させていく指導です。思考のプチトレーニングですね。
この『モアイは語る~地球の未来』を使った学習では、こうした批判的思考を経て、地球温暖化防止機能の低下、土砂災害の増加、生態系の変化などに子らが目を向け、自分事として意見や主張を持つようにさせることが大切です。「それって、ホント?」「それって、正しいの?」に続けて「じゃあ、私は、どう考えたらいい?」なのです。
ここまでさせることによって、学ぶことの主体が自分自身であることをさらに確かめさせます。
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