人として精一杯生きること
今から千年ほど前、
中国の胡寅(こいん)という学者が、
『読史管見(とくしかんけん)』という書物の中で、
次のように述べています。
「人間としてできるかぎりのことをしたら、あとはその結果を天の意思にまかせる」というのです。
たとえば、
中学生が努力して勉強し、高校への入学試験に臨んだ後、その合否が発表されるのを待っている時など、こうした表現を使ってその思い・心境を言い表すことがありますね。
しかし、
これに対して、
明治時代の宗教家の清沢満之(きよざわまんし)さんは、次のように言います。
「人事を尽くして、天命を待つ」
ではなく、
「天命に安(やす)んじて、
人事を尽くす」というのが、
本当の生き方なのではないだろうか。
人には、人の力ではどうすることもできない天の意思によって与えられるものがある。逆らうことのできない境遇や人の力では変えられないものなど、それらを天命(天の意思)として引き受け、その中で人として精一杯生きること。これが大切なのではないかというのです。
人としての生き方について、
胡寅さんと清沢さんとが
時代を超えて向き合う姿がここにはあります。
もしこの二人が
時を超えて実際に対話をしたら、
とても楽しいことでしょう。
そして、きっと最後には、口をそろえて次のように言うでしょう。
「いずれにしたって大切なのは、
人事を尽くすことさ。」
私自身の生き方もこうありたいですし、
子らにもこう指導したいですね。
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