八方美人
今までの人生で何度か、
「あざといよね」
「思わせぶりな態度」
と言われたことがある。否定できない。
というのも、私はかなりの八方美人。
物心ついた頃にはすでに。
人に嫌われないために、全ての人に優しくする。
正確に言うと、嫌われて面倒ごとに巻き込まれるのが嫌なのだ。だから嫌われるのは別にいい。
もっと言えば、無関心になってくれるなら1番いい。
だけど人は関わりを持った相手に対して、なかなか無関心にはなれない。だから、嫌われないようにしている。
私は基本的にニコニコしているし、あまり今までの人生で人に嫌われたことがない。
その分、純度の高い嫌悪の念を向けられる。
なんか嫌い、ではなくて、親を私に殺されたのかと思うほど嫌われるタイプ。
この嫌われっぷりは、きっと私はこの人の家族を殺して村を焼いて愛する人を嬲ったのではないか、何度もそう思った。
駆逐されてしまいそう。
量より質のタイプらしい。
私も相手を嫌いなら何ら問題はないのだけど、私は私を嫌いな人を決して嫌いではない。
というか、あまり人を嫌うことがない。
だから人に対する感情のバロメーターは基本「好き」からスタートする。
嫌いじゃないから、普通に挨拶もするし、目が合えばニコッと笑う。
それがまた、相手の神経を逆撫でするらしい。
私に対してキツい態度をとるのだけど、いつもニコニコ優しい(きいろちゃん)に!!と私を被害者として周りは見てしまう。
より一層、私に対する憎悪や嫌悪が高まる。
私は別に、私を嫌う人が嫌いじゃない。
だから私は被害者ではないし、相手は加害者じゃない。
そして何より、相手が言うその言葉はどれも全てあながち間違いではない。特に傷つくこともなかった。
だから別に庇ってもらう必要もないし、誰にも相手を非難する権利はない。
もちろん、有る事無い事言って相手を傷付けたり不快な思いをさせたら、それは完璧ないじめ。
だけど私は嘘を風聴されたり、危害を加えられたりはしなかった。
あくまで、嫌い!と面と向かって言葉と態度にされる感じ。あぁそうなんだ〜程度。
人によって受け取り方は様々だから、堂々と嫌えばいいってもんではないけど。
思いっきり嫌われるのは案外スカッとする。
もうすでに嫌われているなら、嫌われないようにと気を使う必要もないし、相手も相手で私に関わりたくないのか完全に避けてくる。
あやふやな嫌いの方が、ねちっこくて面倒だ。
積極的に仲良くしたいとは思わないけど
あなた私が嫌いなのね!じゃあ私も嫌い!とはならない。
大抵のことはなんでもいいし、どうでもいい。
母によく、感情がないと言われて育った。
確かに自分でも、リアクションは薄いし、何もかもどうでも良さそうな無気力な人間だと思う。
極度な面倒くさがりで、合理的でない物事や、何度も繰り返されることが嫌い。
だから、嫌い!という確固たる感情の方が楽だ。
私なりに考えて、面倒ごとに巻き込まれないよう、自分の身を守れるよう、人には優しく笑顔でという技を身につけたのかもしれない。
あまりいいイメージを持たれない八方美人。
だけど私にとっては私を守る剣なのだ。
12/5 加筆済