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【オススメマンガ紹介】スティアの魔女 全3巻完結済

積み本消化記事でも紹介している漫画です。やっと読めた。

ファンタジーの世界で渡し舟をしている女の子が主人公の漫画です。
こう聞くと「ARIAのような、漫画なのかな…?」という印象を受けますが、
個人的にはARIAよりも『葬送のフリーレン』が好きな人に刺さる漫画なんじゃないかと思っています。

(ちなみにARIAはこちら。名作ですよね)


ただ、葬送のフリーレンが、『ハッピーエンドの先の物語』だとすると、
スティアの魔女は『バッドエンドの先の物語』だな…、と、
自分は1巻ラストまで読んで感じました。

ここから先はネタバレを含みますので、大丈夫の方のみ先に進んでください<m(__)m>

この話は3巻で綺麗に完結してるので、「ネタバレは少しも踏みたくないよ!」って人は是非ここでUターンして、購入をおすすめします!





どんな話?

小舟で運河の渡し守をしている少女、ハル。
霊峰が見下ろす大河のほとりで、ハルは小舟でお客さんを街道から街へと運ぶ仕事をしていた。
この世界では魔法を使える人がおり、流れに逆らって小舟を動かす必要のある「渡し守」も彼らの仕事の一つだった。

一年ほど前から「渡し守」の仕事を始めたハルは、商人や吟遊詩人、時には兵士と、様々なお客さんを舟に乗せて、彼らの目的地に運ぶ。
穏やかに流れる運河と、人々の交流の時間。
ゆったりとした時間の中でどこか天然な所も見える穏やかな少女、ーーハルを主人公に、人々との交流を描いたスローライフ異世界お仕事系マンガ…、

…という話では、ありません。

「渡し守」という仕事を通したお客さんとの交流から物語が始まるので、一瞬勘違いしそうになるのですが、この話の主軸はもっと別の所にあります。

この話は、1話から主人公である「ハル」に少しずつ違和感を持つ作りになっています。

「渡し守」という平和な仕事をしており、普段はおっとりした女の子に見えるのに、
川にいた巨大な怪物を一人で倒す力を持っているということが1話で示されるのを皮切りに、ハルが「渡し守」になる前に魔物と戦う兵士だったことが徐々に明かされていきます。

ハルは強力な魔法の力を持っていましたが、攻撃魔法のコントロールが極端に苦手という弱点を持っていました。
下手に攻撃魔法を使うと仲間を巻き込んでしまうかもしれないと判断されたハルは防御魔法だけを使うことにし、4人一組の小隊に所属することになりました。

仲間の活躍とハルの強力な防御魔法で暫くは危なげなく魔物との戦いを切り抜けることが出来ます。
しかしある日、ハル達は魔物に追い詰められ全滅しそうになります。
その時、ハルは仲間を守ろうと禁止されていた攻撃魔法を使ってしまいます。

結果は失敗。

ハルの放った魔法は魔物だけでなく、近くにいた仲間の命も奪ってしまいました。
このことがきっかけで、ハルは兵士を辞め「渡し守」になっていたのです。


設定に無駄がない

大まかなストーリーは上に書いた通りです。
運河とそこを行き来する人々のゆったりとした世界観の中にハルの過去が見え隠れして、少しずつ物語の主軸が見えてくる…、という構成が「スティアの魔女」の魅力の一つであることは間違いないのですが、
最後まで読んでもう一つ、この話の魅力の一つだと思ったことがあるので紹介したいです。

この話、本当に設定に一つも無駄がありません。

話が中盤以降に差し掛かると、ハルが何を目指していたのかがわかるようになるのですが、それまで物語上に出て来たハルの行動すべてがその「目的」に向かうためだったことがわかり、序盤の話が読み返すと全く違って見えました。

特に驚いたのがハルが「渡し守」の仕事をしている理由です。

序盤を読んでいる時は仲間を死なせてしまって、兵士を除隊したハルが過去から逃げるために「渡し守」という戦場から離れた仕事を選んだのかと思っていたのですが、中盤まで進んだところで、ハルが「渡し守」の仕事をしていることすらも、実はその「目的」の為だったとわかります。

本作は3巻で既に完結しているのですが、
そこまでの話に全く無駄や寄り道がないので、最初からしっかりと結末を決めて、逆算しながら構成を作ったんだなと、思わず唸ってしまいました。
(3巻が駆け足過ぎる!というコメントもAmazonにあるのですが。。。確かに駆け足は駆け足なんですが、ハル周りの大切な所はちゃんと書ききっているので、下手にダレるよりは3巻で畳んだのは英断だったんじゃないかと自分は思いました。個人の感想ですが…。)

またこの話、小道具の使い方が非常に上手いです。
ネタバレになってしましますが、
1話から出てくるランプに是非とも注目してもらいたいです。


まとめ

「スティアの魔女」は、本当に3巻の中に作者の書きたいものがぎゅっと詰まった良作だと思います。

ハルの目的と話の終着点がわかってから序盤を見ると違って見える描写も所々で出てくるので、ぜひとも何度も読み返してください!


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