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見せたくなっちゃうπO2。
義母が私の家に来て妻と何やら話している。妊娠に関しては少しだけ気をつかう話だからなんとも言えないが、義母はやさしい。36歳になった妻に希望を持っていてほしいようだから、なんでか知らないけど、おっぱいの張りについて話している。
「たとえば妊娠中期になるとね、どんどんおっぱいが張ってくるのよ。どんどん大きくなるの」
魔女のような顔をした義母が興奮した様子でそう言う。妻もなんでか「ほうほう」言ってる。義母の言うことなら、どんなことでも「ほうほう」と聞けるらしい。
義母は興奮ぎみに「とにかくパイオツが大きくなるのよ」と言うので、私は義理の息子として「お母さん、落ち着いてください」となだめつつ、質問してみる。
「どれくらい大きくなるんですか?」
私の家のリビングで立ちながら話す義母は、60歳をとうの昔に超えているが、そのご尊顔は美魔女の系統に入ると思う。私が「どれくらい?」とおっぱいの大きさを聞くと、義母は「うーん」と悩んだあと、両手を自分の乳房にあてて、
「もう、見せたくなっちゃうくらい」
とユサユサ言った。
私は義母にはタメ口を使えるから、きちんと仲のいい感じを演じつつ、
「え? 見せたくなっちゃうくらいに大きくなるの?」
と念押しで聞いてみると「うん、もう、それは、そう」と言うので、ほぇ〜と言って私は自分のアゴをサスサスする。
頭の中では「見せたくなっちゃうパイオツ」ってタイトル、noteでいいかもな、すぐ書けそうだ、と思いながら「あ、パイオツをπとO2を組み合わせて、パイオーツーと読ませたらおもしろいぞ。無理数と酸素のコラボだ」なんて考えて、義母に「ところで何時に帰るんですか?」と尋ねる。
なんなら永遠にしゃべっててもいいんだけど、妻と義母は中身も外もそっくりだから、せわしなさが2倍になった気分になる。
2人とも祭りのようによくしゃべるので、5分間しゃべっただけで私がタジタジ。いつもはいろんな人の話を聞き、ツッコむ役回りが多いけど、義母との会話はそうもいかない。
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〈あとがき〉
なんか、こういう形式でいいんだと思える記事構成でした。変に長く、前フリして、落として、説明することなんて必要ないんだなぁっていう発見です。てなわけで、今日も最後までありがとうございました。
【関連】義母との初対面エピソード