華やかすぎる私の誕生日。
昨日で私は34歳になった。
いくなんでもすばらしすぎる。昨日だ。
朝、目を覚ましてスマホに目をやると通知が5件。おお、これは今日が私の誕生日だからなにか賑やかになっているのだね? はいはい、と期待したのも束の間、すべてが仕事関連のメッセージ。何かのプロジェクトの進捗や、報告、確認事項など、誕生日の「た」の字もないし、おめでとうの「お」の字もない。
「まあ、まだ朝だしね」と自分に言い聞かせつつ、布団から起き上がる。となりを見れば妻は深い眠りの中。前日の夜も「あれ? 明日って俺の誕生日じゃね?」とさらっとアピールしたはずなんだけど、反応は「うん、せやで」だけだった。これはきっと、サプライズの準備でわざと無視して眠りこけているのだな。そうにちがいない。
家を出るときも「いってきマンモス」「あい、いってらバッテラ」だけだった。ここにも誕生日の「た」の字もない。おかしいな。サプライズだよなぁ。
時は過ぎ、お昼を迎える。お昼ご飯は? 食べてない。多くの人に会ったが私は「今日、誕生日なんです、ぼくちん」と言うこともしない。胸の奥にそっとしまうだけ。
スマホをちらちらと確認しながら、「もうすぐだ、祝福の、ブレッシーなメッセージが押し寄せるはずだ」と自分を励ますが、スマホは凪いだまま。仕事の進捗報告が入るばかりで、心のどこかで「え? 俺の誕生日っていつだっけ?」と思ったくらいにして。
そんな中、午後はとうに過ぎ、ようやく1通のメッセージが届いた。LINEがうなる。差出人は私が敬愛する潮永さんから。あぁ、なもちゃん、ありがとう。わざわざこんなド腐れな私に! うう、潮永さん、ありがとう。先生、ありがとう! ありがとう! 万雷のありがとう!
それからもう1件。差出人は、私が心から尊敬する年上の友人だ。彼の誕生日も近く、毎年お互いに忘れずに送り合っているのが恒例。ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます! 万雷のありがとう! 声に出しながら涙涙でスマホを開く。敬意を抱いているはるかに年上のあの人を「友人」と呼んでいいのか迷いながらも、こうやってお互いの誕生日を覚えているのはやっぱり友情だよな、と思わずにはいられない。
夜になった。家に帰った。ドアを開けた。
妻は? どう? サプライズ?
いつもなら妻は「おかえりんご〜!」と言ってくれるが、果たしてどうなる?
ガチャ。
「たでぃま〜!」
すると聞こえてきたのである。
「お誕生日おめでとう〜!」
甲高い声で。すばらしすぎる。うれしいなぁ。
リビングに行き、とにかく疲れた私はコーラでも飲もうと冷蔵庫を開けた。
ガチャ。
目に飛び込んできたのは巨大なケーキであった。
というわけで、34歳になりました。
読んでくださる方、いつもありがとうございます。
本当にありがとうございます!
お祝いの品、待ってます!
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