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島流しの刑に処す。

福岡に向かう飛行機に乗ったときのこと。

私の席は機内右側の三列に並んだシートのちょうどど真ん中。飛行機に乗ると窓の外に広がる景色を見たいと思うおのぼりさんなのだが、隣には40代のおじさんがいた。

くそー。真ん中の席じゃあ、窓の外を見るのはちょっとハードルが高いじゃん。

と思って、
ひとまず機内では本を読むこととした。

機内にはWi-Fiが通っており、スマホのインターネット接続は完璧。便利な世の中であり、航空会社の努力に頭が下がる思い。

新千歳空港から福岡空港までは片道約2時間である。


席の上にはモニターがあって、いまこの飛行機がどこを飛んでいるのかが一撃でわかるようになっている。

航空会社さんの努力に頭が下がる思いだ。ありがとうございます。これで今自分がどこのお空を飛んでいるのかがよくわかります。



離陸から1時間以上が経過し、飛行機は島根県あたりの海の上を飛んでいるということがモニターでわかった。

島根かぁ、むかし行ったなぁ。

と思って窓の外をみると、空はよく晴れている。
見たい。窓の外にはどんな景色が広がっているのか。見たい。

でも私は三列シートのど真ん中。

隣には40代の男性。

くそー、見たいのになぁ。

と思って、男性の顔をチラリと見てみた。


目は閉じられて、
口があんぐりと開いているではないか。


目が閉じられて口があんぐりということは、この人はいま夢の中にいるに違いない。

夢の中にいるということは、多少私が身を乗り出して窓の外を見たとしても、気付かれることはないじゃないか。


チャンス到来。


ちなみに私が座るのは三列シートのど真ん中。

右隣には夢の中のおじさま。

じゃあ、左隣には?



左隣には中国人の女性が座っていた。

フライト中、スマホでずっとゲームをしていて、そのゲーム内の言語が中国語だったので、中国人のお客さんだと断定した。


チャンス到来。


何も気にしない。少しばかり身を乗り出してみよう。というわけで、窓の外をじっくりと見てみた。




島根県の上空である。



見えたのは、青い海に浮かぶ島であった。



島。



あの島はなんだろう。なんか丸い島。隣にも島があり、ちょっとばかり特徴的な形をしている。


幸い、機内はWi-Fiが通っているので、スマホのインターネット接続はバッチリ。あの島はなんなのだ。あの島の名前が知りたい。隣のおじさんはまだ口をあんぐりしている。


スマホを開く。

Google Mapを起動。

GPSによって自分の位置を特定。


よしよし。あの島はなんだ?




隠岐島。



隠岐島おきのしま



隠岐島だって!?

あの!?




隠岐島といえば、日本古来の流刑地じゃないか。島流しの刑といえば隠岐島だ。流された著名な歴史上の人物といえば、


後鳥羽上皇 & 後醍醐天皇。




おいおい、マジかよ。

こんなところに流されたのかよ、
後鳥羽、後醍醐コンビは。


後鳥羽上皇はたしか、隠岐島でその生涯を終えている。が、後醍醐天皇は違う。後醍醐天皇は隠岐島を脱出しているのだ。



マジかよ。

そもそもどうやって隠岐島に島流しにするんだ。見届けた役人とかはいるのか? 脱出するにしたってどうやって脱出したんだろう。日本海だぞ?


うっわあ、すっごいなぁ。

そもそも、島流しって言葉がヤバいなぁ。


島流しの刑に処すんだろ。



そんなことを考えていたら、
隣のおじさまが目を覚ました。

寝ててくれてありがとうございました、と思いながらまた視線を手元に落とし、読書を再開した。


<あとがき>
私の中で歴史といえば「じゃむむさん」ですので、後醍醐天皇の名前が浮かんだときに、じゃむむさんのnoteページで「後醍醐天皇」と検索しました。しかし、ヒットしたのは目次のページのみで後醍醐天皇はまだ本編に登場していなかったようです。今日も最後までありがとうございました。

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