メジャーリーグにハマりすぎた妻。
米国メジャーリーグのニューヨークヤンキースには「ゲリット・コール」という投手がいる。
彼は9年総額3億2400万ドルでヤンキースと契約し、年俸は日本円で54億円。この数字は今季ドジャースに入団した山本由伸投手が更新するまで、メジャーリーグの投手史上最高額であった。メジャーを代表する剛腕である。
ちなみにこの選手は試合中にほとんど表情を変えない。最高球速159キロを投げるくせに、マウンド上での表情は氷のようである。全盛期のアーセナルの往年の名選手、”アイスマン”ことデニス・ベルカンプのようだ。
大谷選手が目覚ましい活躍を続けてはや数年。それまで野球にまったく興味のなかった私の妻が野球にハマっているということは以前も書いた。どれくらいハマっているかというと、ドジャースの全試合を生中継でテレビ観戦するくらいのハマり具合である。全試合だ。1試合2〜3時間くらいある試合をすべて見ている。
妻は「いけ! 翔平! せめて犠牲フライ!」とか「ああ! フリーマン! 無理しないでぇ〜!」とテレビに向かって叫んでいる。
妻はすべての試合を見ているくらいだから、ドジャースにいる大谷以外の選手の名前をもちろんのこと、ほかのチームの選手の名前、ポジション、選手の特徴のことも熟知している。
「明日はアストロズと対戦だからちょっとキツイかも」とか「フィリーズのブライス・ハーパーはたしかにすごいけど、なんだか気に入らない。強すぎるから」とか「セールの今シーズンのピッチングを見てると、サイ・ヤング賞は確実ね」と私に言ってくる。ちょっと前までは「スライダー」も知らなかったのに、妻の知識の拡大具合ときたらたいしたものである。
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昨日の夜、私はなんだかお腹の調子が悪い気がしたので自宅のトイレにこもった。
数分トイレにこもり、リビングに戻ると、ワールドシリーズのハイライトをテレビで見ながら妻がこう言ったのである。
「旦那、ゲリット・コール? お腹あたためないとね」
瞬間、妻が放った「ゲリット・コール」が何を意味しているのか分からなかった。しかし私の脳内のシナプスがコンマ数秒の電気信号を送る。そして理解。
妻は「下痢」と「ゲリット・コール」を掛け言葉としてボケてきたわけである。
これには大いに笑った。おそらく2024年で最も笑ったのではないか。
下痢をしてきた私に対して「ゲリット・コール」がすぐに出てくる妻である。身内を褒めるのはどうかと思うが、思わず書かずにはいらないひと言で、ありゃなかなかユーモアが効いていておもしろかった。
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