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言われたことしかやらない夫。
お取引先に訪問して、今うまくいってることや課題がないかを聞く。状況は企業によって様々なのだけど、だいたいに共通しているのは若手の育成に関する悩みだ。
「最近の若者は」という話はいつの時代にも共通で、古くは徒然草や枕草子でも言及されているし、なんなら古代ギリシャでも言われているようなこと。
いつだって世代の断絶による悩みは絶えない。
ある企業が悩んでいたのは、最近の若者は言われたことしかやらない、ということであり、さらに言うと「そんなことまで教えなきゃならないのか?」という悩み。
そういった悩みを世代のせいにして「最近の若者は」とひとくくりにするのは危ない気がする。なぜならこの問題はあくまで個人の資質に起因するものだからだ。おそらく世代のせいではない。
最近の若者は言われたことしかやらない、という話はWEB上だとよく聞く話だけど、実際の現場でそういった悩みがあると知り、なんだか新鮮な気持ちになる。
「最近の若者は言われたことしかやらないんです」
「そうなんですね」
「彼らと話していてよく出てくるワードは『それは教えてもらってないです』というものでして」
「あ〜、ありそうですね」
「育成というのは大変ですよイトーさん」
私は全てを悟ったかのような、そうですよね、そういうことってありますよね、という顔で応答する。
...
ある休日、久しぶりに妻にブチギレられた。
家事の問題である。
おそらくフラストレーションがコップいっぱいなみなみに溜まっていて、それがいよいよ臨界点に達したのだろう、とにかくキレられた。火山が噴火してるのかと思って命の危険を感じた。
誰かが怒っているときは、怒っているのではなく泣いていると思ったほうがいい、という名言は誰が言ったやつだっけ。
なんとなく頭にこびりつく言葉なので「はっ!」と思って、泣いている人と接するように妻と接する。全て私の至らなさが原因である。
言われたのは「何回言えばわかるの?」であり「言われたことしかやらない」というもので、あちゃちゃという気分になる。
企業に訪問して、若者の育成の話を「そうですか、そうですか」なんて得意げになって聞いているものの、いざ家庭に入ると、私も同じではないか。
しかも私は「何回言えばわかるの?」とキレられている。言われたことしかやらない夫、何回言っても行動に移せない夫ここにありである。
「右から左に流れていた、ごめん」と妻にいうと「うっざ」とキレられる。
言われたことしかやらないのは、おそらく全人類共通のこと。仕事にしろ家事にしろ、ある程度習熟すると他人の至らなさが目に入る。
怒る前キレる前、嘆く前に、指導が本当に正しかったのかを考えるクセを自分の中に設けたい。
あと、私はマジで妻が怖い。
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〈あとがき〉
家事に関しては大きなことから小さなことまでフラストレーションが溜まるものなんですよね。ハンガーのしまい方とかそういうレベルのことなんです。仕事ならば全部のチェックリストでも作ってまとめておけばいいと思うんですけど、家庭のこととなるとそういうことじゃねーんだよと言われそうです。今日も最後までありがとうございました。
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