第1回 美容家 長谷川清美
今回から「はたらく女性に聞いてみた」というインタビューシリーズを始めます。この企画では、各業界で活躍する女性の方々に、室賀貴穂が労働経済学の観点も交えてインタビューを行います。
第1回のゲストは、美容家 長谷川清美先生です。
長谷川清美先生 プロフィール
山梨県にお生まれになり、東京の高山美容学校卒業後、山梨の美容院に就職されました。2003年に、全日本ブライダル協会ウェディングプランナー民間資格を取得され、ブライダルヘアメイクと着付の専門家として、2004年に「ヘアメイクKIYOMI」を立ち上げられました。また、アメリカ・ロサンゼルスのMakeup Designory Los Angelesにメイクスキルのアップデートのために留学され、Yumi Katsuraのバックステージも担当されております。パリ・ニューヨーク・シンガポール・上海・ソウルなどのアジア主要都市で開催されたYumi Katsuraのショーでは、ヘアメイク・着付を担当され、数々の国際的なショーでも活躍されています。2014年から、一般社団法人全日本ブライダル協会理事にも就任されています。
動画の内容
美容家を志したきっかけ
異なる業界でのご経験
Yumi Katsuraとの出会い
桂由美先生との思い出
女性が働きやすい環境にするための心がけ
「賃金構造基本統計調査」について
経験年数が長くなると男性の賃金のほうが増える理由
美容業界でもっと女性が活躍していくには
女性が美容業界で働くことは難しいのか?
女性が美容業界でキャリアを形成していく上で障害になるもの
美容業界のために求められる政策
はたらく女性へのメッセージ
インタビュー後記
私は、労働経済学の観点から女性の就業やジェンダー問題について研究を行なっている。統計的な手法を用いて大規模なデータを分析し、論文を執筆しているが、データを分析するだけではわからない個別の事情について、インタビューを行なってじっくりとお話を伺いたいと考えていた。
特に、インタビューを行いたいと考えたのは、プロフェッショナルとして活躍される女性の皆さま。女性活躍を推進するためには、女性リーダーを増やすことが重要だが、現在ご活躍の皆様からお話を伺うことで多くの知見が得られると考えた。さらに、女性活躍の方法に関して、さまざまな業界の第一線で活躍される女性の方々のお話を伺うことで、社会全体が女性活躍に対する理解を深めるきっかけとなってほしいと考え、インタビューの内容をYouTubeにアップし公開することとした。
インタビューシリーズを思い立ってすぐに、私がお話を伺いたいと思う皆様にインタビューの打診をした。幸いなことにご快諾いただき、今回は記念すべき第1回のゲスト 長谷川清美先生のインタビューである。
長谷川清美先生には8年前に初めてお会いし、ヘアメイクの技術・センスだけでなく、そのお人柄に大変感銘を受け、憧れ、尊敬している。今回、じっくりと先生のお話を伺うことができ、先生の哲学に触れ、とても多くの学びがあった。
例えば、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」のデータを利用して、美容業界における男女別・経験年数別の賃金についてお話を伺った。インタビュー前に「賃金構造基本統計調査」のデータをダウンロードして、グラフを作成している時に、「こんな理由で男女間賃金格差が生じているかな?」となんとなく想像していた内容とは全く異なる美容業界のリアルなお話を伺うことができ、大変勉強になった。
また、そもそも美容業界には女性の働き手が多いから、男性が多く働く業界とは、そこで働く女性の悩みも、どのような支援が必要になるかも全く異なることを知った。経済学の文献ではロールモデルの存在が重要であることが議論されているが、それらの研究とも関連が見られ、興味深いと感じた。
さらに、労働と仕事の違いや、仕事を続けることで得られるものに関するお話は、長谷川清美先生の洞察力が光る素晴らしい内容で、私自身も 働く1人の女性として今後の人生に活かしていきたいと強く感じた。
私が九州大学経済学部で3・4年生を対象として開講している「労働経済」の授業でも長谷川清美先生のインタビュー動画を取り上げた。学生たちからも大変好評で、多くの感想・意見が出された。学生たちが卒業後、人生を送る上で、なんらかのヒントになったら嬉しい。
今後もこのインタビューシリーズは続いていく。是非多くの皆様にご視聴いただき、女性活躍に対する理解が深まるきっかけとなったら幸いである。