知識を共有し、お互いを高めあうエンジニアの文化
「Kaggle(カグル)」という言葉をご存じでしょうか。
Kaggleは機械学習やデータサイエンスに関わる人たちの世界的なコミュニティで、約2,000万人が参加しています。その主な目的はコンペの開催で、企業や政府機関から出された課題に対して、データサイエンスを駆使してソリューションを提案し、優秀なモデルには賞金やメダルが与えられます。
このKaggleに参加する人たちは「Kaggler(カグラー)」と呼ばれていますが、そのKagglerがオフラインで集まる交流会が定期的に開催されています。
先日、この交流会のひとつ「関西Kaggler会」に招待いただき、参加しました。私はエンジニアでもデータサイエンティストでもないので、ほとんど内容は理解できないのですが、ひとつ感じたことがあります。
それは、エンジニアやデータサイエンティストの世界には、スキルや情報を積極的にシェアしようという文化があること。
そして、若い人材の育成にも意欲的で「みんなでレベルアップしていこう」という空気感があることです。
特に興味深かったのは、イベントに協賛したスタートアップ企業のプレゼンテーションです。このイベントには複数の企業がスポンサーとして協賛していましたが、その中にはAI系・SaaS系のスタートアップもいくつかありました。
このようなスタートアップが協賛する主な目的は、優秀なKagglerとの出会いを通じた人材獲得で、プレゼンテーションでも福利厚生のアピールに力を入れていました。
そのプレゼンを聞いていると、これらのスタートアップがいかに社内エンジニアのスキルアップのサポートに力を入れているかが伝わってきます。
例えばある登壇企業は、社内エンジニアの福利厚生として月5万円までの技術研鑽費を支給している、という話をしていました。
また別の登壇企業は博士課程への進学を支援する制度を設けており、実際にこの制度を使ってAI開発の研究に打ち込んでいるメンバーもいることをアピールしていました。
これらのスタートアップの中で、特に人材育成の話が印象深かったのが、株式会社パンタレイのCEO・田中一馬さんのプレゼンです。パンタレイはAIシステムの受託開発やデータ基盤構築支援などを手がけるスタートアップで、田中さんが学生のときに起業した会社です。
田中さんがプレゼンの中で力強く語ったのが
「私たちはインターン生の教育にリソースを惜しまない」
という言葉でした。
学生時代にKagglerとして優秀な実績を残した田中さんは、投資家から起業を勧められ、パンタレイを設立します。知名度も資金的な余裕もない中でリソースを確保するために取り入れたのがインターン生でした。
優秀な即戦力の採用が難しいなら、自社でしっかり育てる。そんな考えのもと、エンジニアとしてのスキルだけでなくビジネスマナーなどの教育にも力を入れてきました。
こうして会社は着実に成長し、今は5期目を迎えています。この経験があるからこそ「インターン生の教育にリソースを惜しまない」という言葉が出てきたのだと思います。
ちなみに、同社の歴史や採用にまつわるストーリーはWantedlyでマンガになっていますので、こちらもぜひご覧ください。
このように知識や経験をシェアし、高めあう文化がすべての業界に広がれば、成長機会を重視する若い世代がもっと働きやすい世の中になるのでは。そんなことを考えさせられるイベントでした。
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